現地時間4月12日~14日に米カリフォルニア州インディオにて開催された野外音楽フェスティバル【コーチェラ・バレー・ミュージック&アート・フェスティバル2024】のウィークエンド1の2日目にLE SSERAFIMが登場した。
アジア勢のアーティストが多く出演する中、歴代の韓国アーティストの中でデビューしてから最も短い期間で単独ステージに立ったLE SSERAFIMは、<サハラステージ>に集まった多くのFEARNOTやリスナーを惹きつけた。出演が現地時間22:50~23:30ということもあり、韓国や日本(14日14:50スタート)からも比較的見やすい時間帯だったため、現地参加できなかったFEARNOTもYouTubeを通して彼女たちの雄姿をリアルタイムで見届けたことだろう。
LE SSERAFIMは、バンドセット&10人以上のダンサーを引き連れて、この日のためにアレンジされた10曲をパフォーマンス。その中には初披露となる未公開曲も含まれていた。赤い髪をなびかせるHUH YUNJINがセンターでポーズし、最新ミニアルバム『EASY』のオープニング・ナンバー「Good Bones」に合わせて、SAKURA、KIM CHAEWON、KAZUHA、HONG EUNCHAEがステージサイドから登場。「ANTIFRAGILE」でスタートし、風が髪を美しくなびかせるという相乗効果を生み出しながら、力強いバンドのサウンドをバックに、5人のボーカルからはいつも以上に熱い意気込みが感じられた。
「What’s up, Coachella??」とHUH YUNJINがオーディエンスに呼びかけ、「準備OK?」とメンバーたちにチェックした後は、お馴染みの寝そべりでスタンバイし、デビュー曲「FEARLESS」へ。〈Bam ba ba ba ba bam〉のイントロが流れ、オーディエンスも一緒に口ずさむのが聞こえる。2022年5月にデビューしてから、韓国や日本の音楽ファンを魅了したこの曲が、リリースから2年未満ながら世界最大級の音楽フェスでパフォーマンスされるなんて、当時は予想できなかったが、大胆不敵を体現する5人のこのパフォーマンスが会場の雰囲気とマッチしていた。
砂漠地帯にオアシスが生まれた「The Great Mermaid」を経て、未公開曲「1-800-hot-n-fun」を【コーチェラ】で初解禁。初披露にもかかわらず、早くもオーディエンスの心を掴んだ。
サプライズはこれだけではなく、なんとナイル・ロジャースが登場。そう、エンニオ・モリコーネが手がけた『続・夕陽のガンマン』のメインテーマをサンプリングし、ナイルがギター参加した「UNFORGIVEN (feat. Nile Rodgers)」の時間だ。世紀のギタリストが奏でる特徴的なギターサウンドを聞きながらカリフォルニアからテキサスへ一飛びした気分で、5人がナイルを囲むシーンやこの日だけのコラボレーションに沸いたのは筆者だけではないはず。
高い人気を誇る「Eve, Psyche & The Bluebeard’s wife (English ver.)」では、LE SSERAFIMの真骨頂でもある難易度の高いダンススキルが披露され、会場の熱気が一層と高まる。個人的にこの曲のハイライト部分だと思う〈I’m a mess mess mess mess mess mess mess〉のダンスパートの照明が配信では暗くて、5人がカッコよく踊る姿をはっきり捉えることができなかったところが非常に残念だったが、大合唱する会場の盛り上がりははっきりと聞こえた。
勢いそのままに、「Perfect Night」では、合唱するオーディエンスと一緒に最高のサタデーナイトを過ごす5人。そして、トレンドのアフロビートを取り入れた「Smart」をここに持ってくることで、会場の盛り上がりを冷めさせない。体を揺らすダンスが、これまた違うLE SSERAFIMのダンスの魅力をふりまいていた。
あっという間にステージも終盤に差し掛かり、「みなさん楽しかったですか? 私はすごく楽しかったです。一緒に最高の思い出を作ってくれてありがとうございます。大好きです!」(KIM CHAEWON)、「みなさん最高です! この日のことは忘れられません。一緒に時間を共にしてくれてありがとうございました」(KAZUHA)、「夢が叶いました。また会いましょうね。今日は私たちと“パーフェクト・ナイト”を過ごしてくれてありがとうございました!」(SAKURA)、「忘れられない一日になりました。この熱気を噛みしめているところです。私たちのことをこれからもよろしくお願いします!」(HONG EUNCHAE)、「素晴らしい時間をありがとうございました。みなさんのおかげですごく楽しかったです」(HUH YUNJIN)と、この日の感想を一人ずつ英語で述べていく。
「最後に踊る準備はできていますか?」とKIM CHAEWONが会場をあおり、米ビルボードのメインチャート“Hot 100”に初めてチャートインした「EASY」へ。簡単に物事をこなしているように見えるが、その裏には数切れないほどの努力があり、それを見せないプロフェッショナルな5人の思いが込められたナンバーを踊りながらしっかり生歌で届け、これほどまでにイージーブリージーに見せてしまう5人がカッコよすぎた。
スペイン語、英語、韓国語を交えたラテンポップのリズムを持つ「Fire in the belly」がこの日のラストを飾り、情熱的なパフォーマンスで最後までオーディエンスを飽きさせない。
【コーチェラ】前に実施したインタビューでは、「覚悟を持ってステージに挑む私たちをFEARNOTに見てもらいたいです」(SAKURA)、「【コーチェラ】で私たちのことを初めて見る方も多いと思うので、私たちLE SSERAFIMがどんなグループなのか、どんな音楽をするグループなのかを知っていただけたらと思います」(HUH YUNJIN)と、北米の音楽シーンで挑戦することの覚悟を話していたLE SSERAFIM。同時に、「デビューして以来、一番規模の大きなステージになります。そのステージに立たせていただくことで、どれだけのエネルギーを感じられるのか、とても楽しみにしています」(HONG EUNCHAE)と、会場の雰囲気を感じ、そこから何かを吸収する意欲も感じていた。
その言葉通り、5人は約40分強の間に堂々とした姿を世界に発信。苦楽を共にしてきた5人だからこそ、緊張をみじんも感じさせないステージでもあった。日本時間21日に控えるウィークエンド2ではこの日をアップグレードした姿が見られそうだ。
Text: Mariko Ikitake
Photo: Rachael Polack & Natt Lim / Courtesy of Coachella
◎セットリスト
Intro. Good Bones
1. ANTIFRAGILE
2. FEARLESS
3. The Great Mermaid
4. 1-800-hot-n-fun(未公開曲)
5. Intro + UNFORGIVEN (feat. Nile Rodgers)
6. Eve, Psyche & The Bluebeard’s wife (English ver.)
7. Intro + Perfect Night
8. Smart
9. EASY
10. Interlude + Fire in the belly