4時間にわたる詰問は「やりすぎ」
とはいえ、公正な試験においてカンニング行為をすれば、学校から教育的な指導を受けるのは当然だろう。問題は指導の“程度”や処分の妥当性だが、大学ジャーナリストで高校事情にも詳しい石渡嶺司さんは「ペナルティーは当然だが、処分に問題があったのではないか」と語る。
「写経をすることは指導の範囲内といえますが、ボリュームについては考える必要があります。80巻という数字がどのくらいなのか分かりませんが、日常生活を圧迫するほど書かせるのは行きすぎた指導です。また、カンニング発覚後、4時間にわたって複数の教師からの詰問があったと報じられていますが、これが本当であればやりすぎです。心が壊れてしまってもおかしくありません」
では、今回のようなケースで学校側はどうすべきだったのか。石渡さんはこう語る。
「当該の生徒に『推薦入試の対象外』と伝えたとも報じられていますが、該当科目を0点にしただけでも評定平均は大幅に下がり、推薦入試の対象外となる大学がほとんどなのですから、それをわざわざ『カンニングしたから推薦は対象外だ』などと言わなくてもよかったのではないかと思います。該当科目を0点にして、写経80巻とは別に、カンニングをした生徒になぜカンニングが良くないことなのか、説諭する時間を後日に設ける、という程度でもよかったと思います」
清風高校では、普段から朝礼などで「カンニングをするのはひきょう者」との訓話があったという。こうした校風のなかで、カンニングをすればペナルティーが課されることは、生徒たちも容易に想像できるだろう。偏差値68という数字が示すように、生徒たちは厳しい受験をクリアしてきた“エリート”だ。