<ライブレポート>milet、“歌にも自分にもみんなにも、もっと正直でありたい” 5年目の決意を聴かせた【GREEN LIGHTS】横浜アリーナ公演

 miletが、初のアリーナ公演【milet 5th anniversary live “GREEN LIGHTS”】を2024年3月15日、16日に大阪・大阪城ホールで、3月19日、20日に神奈川・横浜アリーナにて開催した。このレポートでは、3月19日に行われた横浜アリーナ公演初日の模様をお届けする。

 今年デビュー5周年を迎えたmilet。今回のアリーナ公演のタイトル“GREEN LIGHTS”は、コロナ禍でやむなく全公演中止となった【milet live tour 2020 “Green Lights”】から4年の時を経て開催されるスペシャルライブだ。

 開演時間を過ぎ場内が暗転すると、荘厳なSEと低く静かなスキャットが聴こえてきた。スクリーンの中には緑の木々が広がっている。マイクを持ち歌うシルエットが中央に映し出されると大歓声に迎えられて幕が落ち、純白の衣装に身を包んだmiletがステージに登場した。トライバルなリズムに乗せて〈GREEN LIGHTS〉と呟くように繰り返しながら前に進むmilet。まるでジャングルの奥地から現れたディーヴァを民衆が迎えるようなオープニングに、一気に引き寄せられた。客席からは自然に手拍子が起こり、幻想的なサウンドを導入にバンドの豪快な演奏へと繋がっていく。その音を合図に、ステージからグリーンライトが飛ぶと、観客が腕に付けたフリフラが呼応して、客席が緑色に埋め尽くされた。大陸的なサウンドスケープを見せるド迫力な演奏と共に、miletは英詞を歌い、拡声器を持ってアジテーションするようにステージ左右を行き来する。右手を伸ばし〈GREEN LIGHTS〉と繰り返しながら曲が終わると、スクリーンには“GREEN LIGHTS”の文字が残された。

 ラウドなサウンドが放たれて、MAN WITH A MISSION×miletで発表した「絆ノ奇跡」へ。マンウィズのパートも自ら歌い切り、〈絆が紡いで生まれた〉から「SAY!」とマイクを客席に向けると〈奇跡を〉とオーディエンスが一斉に声を上げた。miletの両サイドのギター、ベースも前に出て煽りライブハウスさながらの熱気に包まれて、milet×MAN WITH A MISSION「コイコガレ」が飛び出した。miletはステージ左右に足を運びながら歌い、最後に圧巻のロングトーンを聴かせるとどよめきが起こる。伸ばした左手がギュッと拳を握るシーンにも、このライブに懸けた意気込みが伝わってきた。

 グリーン、ブルー、オレンジと曲ごとに色を変えるザイロバンドの光が今度は真っ赤に客席を埋める。炎が立ち昇り「checkmate」が始まると、miletは長い花道を歩きセンタ―ステージへと進んで、グリーンライトのスポットを浴びながら中央の客席に向かい挑発的に歌う。ジャングルビートと共に興奮を掻き立てる炎の激しさが、離れた客席にいても熱さを感じるぐらいだ。「Higher」ではファンキーなドラム、ベースが転がるようにアンサンブルを奏で、miletはステージ後方でクールにクラシック・ソウル調のメロディを歌唱。途中、スラップベース、ピアノのソロからさらにグルーヴするバンドも絶好調の様子。

 「特別な日に来てくれて、本当にありがとうございます。いつもとは少し違う気持ちでここに立っています」

 ひと言伝えてから歌い出したのはデビュー曲「inside you」。ブレスも生々しいアカペラで会場の隅々まで歌声を響かせると、あまりの迫力に客席は息を飲み静まり返った。そこからバンドの音が加わり、渾身の歌唱が瑞々しく空気を震わせる。5周年の節目で歌う“始まりの曲”への思い入れを感じさせる、神々しいまでの1曲となった

 MCでは、“GREEN LIGHTS”が本来4年前に初のツアーとして行われるはずだったものの中止となり、ようやくファンとの約束を果たせたことに感謝を伝えた。


 「恐怖や不安を歌った大切な歌」との紹介から、「Waterfall」へ。英語と日本語が混在した歌詞が音数の少ない演奏で届けられる。センターステージに向かうと、自らを360°囲まれた観衆の中に晒して独白するように歌い上げた。さらにダークな曲調の「Your Light」は、重いピアノの音色が印象的な前半の静けさから、サビでダンサブルになるコントラストがじわじわと体を揺らす。そんな先鋭的な楽曲のリズムからリレーするように、徐々にビートが強烈になってEDMに変化。見ると、メインステージからはものすごい勢いでスモークが上がり、煙幕の向こうには周囲にグリーンの装飾を纏った巨大なDJブースが出現。あまりに突然の展開に戸惑いがちにmiletの姿を追うオーディエンスに、「DJ・HiRAPARK!!」とアナウンスして、DJのHiRAPARKと「DJ MIXメドレー」コーナーへと突入した。2人が共作した「HELL CLUB」に始まり、「Higher」~「Outsider」~「SEVENTH HEAVEN」~「おもかげ」~「us」と、直球EDMで次々と曲を繋いで行くHiRAPARKとDJブースの上に乗って踊りながら観客を煽るmilet。オリジナルは緩やかなダンスチューンの「おもかげ」、エモーショナルな歌唱が特徴的な「us」も、ゴリゴリな4つ打ちで披露されたのは衝撃的。オープニングから先ほどまでの楽曲パフォーマンスとの世界観の違い、冷静と情熱の間にあるぶっ飛んだギャップに圧倒されてしまった。まさに、「感情をごまかそうとする自分を今日は許さない」というMCの言葉が実践されていた。

 DJメドレーの終盤にステージ袖に消えたmiletは、コーナーが終わると先ほどまでのアゲアゲな時間がなかったかのように、静かにセンターステージに登場。アカペラで「bliss」を歌うと、途中でピアノが寄り添い、清廉な歌唱を聴かせた。そのままセンターステージで歌い出した「Anytime Anywhere」では、ステージがせりあがり、miletはオレンジ色の光に包まれた客席をぐるりと見渡しながら、語り掛けるように声を届かせる。歌唱中、天井からは桜の花を模した紙吹雪が舞い降りてきた(「Anytime in your heart milet」「Anytime Remember milet」と描いてあった)。続く「Wings」ではオーディエンスがグリーライトがついたザイロバンドを振って感動的な光景が広がる。美しいコーラスも心に残る「One Reason」へと歌い継ぎ、いずれもバンドの包容力のある演奏とmiletの歌声、演出がひとつになった名演だった。

 そして最後に歌ったのは、「邂逅」。静かに、しかし混沌としたようにも聴こえる音像が、自身の内面と向き合い問いかけるような歌い回しとリンクする。miletの感情の昂ぶりが徐々に熱を帯びる演奏とひとつになって、最後はゆっくりと穏やかに着地した。

 アンコールに応えたmiletはMCで改めてこの日のライブについての想いを語る。「 “GREEN LIGHTS”は、私にとっての決意です。歌にも自分にもみんなにも、もっと正直でありたいって思った、5周年目の決意の“GREEN LIGHTS”です。たくさんのことに気付かせてもらった5年目だなってすごく思います。こんな私をこんな大きな会場で応援してくれて、本当にありがとうございます」

 また、来年公開の新作映画(三木孝浩監督作品)にヒロインの前園ミナミ役として映画初出演にして主演を果たすことが先日発表されたが、「今日、ここにいるみなさんと撮影したいんですけど、いいですか?みなさんも演じていただけたら……」と、この場で観客と共に映画撮影を行うことに。思わぬサプライズとなったが、あるシーンが無事撮影された。

 ライブに戻ると、エレキギター弾き語りで「I Gotta Go」、「The Love We've Made」等数曲を披露。ポップに彩られたギターボディを抱えて歪んだ音をかき鳴らしながら1人で歌うmiletは新鮮だった。最後は、バンドメンバーを呼び込んで紹介(elley(Cho)、河村吉宏(Dr)、藤本藍(Key)、橋本幸太(Ba)、野村陽一郎(Gt))してから、「そして私、milet。そして、横浜アリーナにきてくれたあなた!」と、自身とお客さんも紹介した。

 「みんなとこれからも歩いて行きたいです。今日ここで歌ったことを、私の人生の大きな道しるべにしていきたいなと思います。また会おうね!」

 最後は、バンドと共にギターを弾きながらの「Who I Am」。最初から最後まで、自分を包み隠さずに全身全霊のパフォーマンスで己の存在を問いかけた、ストイックなライブの最後に相応しいラストナンバーだった。


Text:岡本貴之
Photo:後藤壮太郎、入日伸介


◎公演情報
【milet 5th anniversary live “GREEN LIGHTS”】
2024年3月19日(火) 、20日(水・祝)  神奈川・横浜アリーナ

◎セットリスト
1. GREEN LIGHTS
2. 絆ノ奇跡
3. コイコガレ
4. checkmate
5. Higher
6. inside you
7. Waterfall
8. Your Light
9. DJ MIXメドレー(HELL CLUB ~Higher~Outsider~SEVENTH HEAVEN~おもかげ~us)
10. bliss
11. Anytime Anywhere
12. Wings
13. One Reason
14. 邂逅
EN1. 弾き語りメドレー(I Gotta Go~You made it~The Hardest~The Love We've Made)
EN2. Who I Am