遠藤、南野以外にも評価を上げた日本人選手は多くいる。イングランド2部ではあるが、“伝家の宝刀”キックフェイントからのドリブルで多くのチャンスを作り出して地元ファンから大人気となっていた坂元達裕(コヴェントリー)の名前を挙げたかったところだが、2月23日の試合で競り合いの中で背中から落下し、残念ながら今季絶望となった。だとすれば、オランダで結果を残している小川航基(NECナイメヘン)を3人目の日本人選手として挙げたい。10代の頃から将来の日本のエースとして期待された大型ストライカーは、故障や不調で伸び悩んだ時期を乗り越えて迎えた海外挑戦1年目の今季、ゴール前での嗅覚と決定力を発揮し、ここまで公式戦通算12得点(リーグ戦8得点)をマークしている。ゴールだけでなく、巧みなポストプレーと動き出しの良さも特徴で、この活躍に森保一日本代表監督も4年3カ月ぶりに代表招集することになった。その他、守田英正(スポルティング)の働きぶりが目に付くが、“上昇度”では小川の方が上だ。

 一方で、今季大きく評価を下げてしまった選手もいる。その筆頭は、鎌田大地(ラツィオ)だろう。ドイツ・フランクフルトでは優れた技術とインテリジェンスで高い評価を得たが、新たな挑戦の地として選んだイタリアの名門ラツィオでは、開幕4試合連続スタメンも5戦目以降は出番を失い、ここまでリーグ戦20試合(スタメン8試合)出場で1得点1アシストのみ。マウリツィオ・サッリ監督の戦術に適応できず、守備の問題が指摘された上に現地メディアでは「内気すぎる」と性格面も指摘された。新戦力としての期待が高かった分、批判の声も大きくなっている。だが、起用法と“少しの運”があれば活躍できる力は間違いなくある。チーム自体も不振で3月13日にサッリ監督が辞任。新たに鎌田自身も今夏の退団が既定路線とされているが、新たに就任したイゴール・トゥドル監督の下で一気に状況を覆すチャンスはある。

 日本代表のエースとして期待の上田綺世(フェイエノールト)も、今季は大いに苦しんでいる。海外挑戦1年目となった昨季は、ベルギーのセルクル・ブルッヘで22得点を挙げた。だが、昨夏に加わったオランダ・フェイエノールトでは、開幕から3歳年下のメキシコ代表FWサンティアゴ・ヒメネスがゴールを量産したこともあって控えに甘んじ、ここまでリーグ戦スタメン1試合のみの18試合出場で2得点という数字。同クラブ史上最高額となる移籍金900万ユーロ(約14億8000万円)での加入だったこともあり、現時点では“期待外れ”となっている。ただ、3月17日に決めた2得点目は貴重な決勝弾となり、試合後でもチームメイト並びにサポーターから愛されている様子も伝えられている。現在、オランダリーグで得点ランキング3位の21得点を挙げているヒメネスは、他の欧州ビッグクラブが関心を寄せており、もし移籍が成立すれば上田の出番が増えるはず。その来季のためにも、残り試合での“結果”が大事になる。

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