大リーグが20日に開幕。韓国・ソウルである開幕戦は、ドジャースとパドレスの一戦だ。ドジャースは大谷翔平と開幕2戦目に先発予定の山本由伸、パドレスは開幕投手を務めるダルビッシュ有にセットアッパーの松井裕樹が名を連ね、見逃せない試合だ。日本のみならず韓国でも注目される大谷翔平だが、米社会ではどう見られていたのか(この記事は「AERA dot.」で2023年10月11日に配信した記事を再編集したものです。本文中の年齢等は当時のもの)。
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今季も二刀流で大活躍した大谷翔平選手。日本人初となるア・リーグの本塁打王に輝いた。米メディアで唯一の大谷番記者を務めた、『ルポ 大谷翔平』の著書もある在米ジャーナリストが見た米社会での大谷の姿とは。AERA 2023年10月16日号より。
大谷翔平の2023年は、故障による離脱という思わぬ幕切れとなった。念願のポストシーズン進出も叶わなかった。
しかし、WBC優勝という劇的スタートで始まり、公式戦でも3年連続で二刀流の大活躍。最後の1カ月は出場できなかったにもかかわらず、11月17日(日本時間)に発表される予定のMVP受賞は確実だと言われている。
打率や本塁打数、勝ち星、奪三振数といった個々の数字を他選手と比べても、大谷がどれほど優れているのか分かりづらいかもしれない。だが、各選手が投球や打撃、守備、走塁をひっくるめてどれほどの活躍をしたのかを測るWARという指標を見ると、大谷はメジャーでダントツ1位だ。しかも、フル出場した21年、22年の自身の数字を上回っている。けがをせずに終えていれば、「史上最高のシーズン」だったという見方もあるほどだ。
3年連続でMVP級の活躍をしたことで、チームメートのマイク・トラウトから「現役最高選手」の座を引き継いだことに異を唱える現地専門家は、ほぼいなくなった。メジャーリーグの広告写真などでは、大谷が真ん中で、他のスター選手よりも大きくフィーチャーされる。
MLBがつい先日発表した23年のユニフォーム年間売り上げランキングでも、大谷は日本人として初の1位に輝いた。
サッカーのリオネル・メッシのように、大谷は名実ともに世界の野球界の「顔」となったのだ。野茂英雄やイチローを含め、そこまでの地位に上り詰めた日本人はいない。
私のプライベートの友人で、オールスターに3度選出されたことのある元メジャー投手、ダン・ヘイレンは、大谷のサインがどうしても欲しくて、直筆の手紙を添えてエンゼルスにユニフォームを送ったほどだ。残念ながら、まだ返事はないらしい。