ジュニアグランプリファイナル王者である15歳の中田璃士(なかた・りお)は、優勝候補として世界ジュニア選手権(2月26日~、台湾)に臨む。
元フィギュアスケーターの父とイギリス人の母を持つ中田は、現在中学3年生。千葉県船橋市のMFアカデミーで、父の誠人コーチ、中庭健介コーチ等に師事している。
中田は2021年全日本ノービス選手権で3連覇を遂げ、史上5人目となる100点超えも果たした。長い手足を生かす洗練された所作が印象的で、曲を体現する感性にも優れている。源氏物語をモチーフにしたアイスショー『氷艶2019―月光かりの如く―』に出演、朱雀帝に扮したステファン・ランビエル氏の子役を務めた経験も持つ。
ジュニア2シーズン目となる今季、中田はショート・フリーとも自らの魅力を発揮するプログラムをそろえた。映画『天使と悪魔』の曲を使うショート『God Particle /160 Bpm』(宮本賢二氏振付)では、ダークな曲調を繊細に表現する。また、昨季から継続して滑るフリー(岩本英嗣氏振付)では、映画『007』の曲を使う。目標としている五輪でも滑りたいというほど気に入っている曲だけに、内面から出てくる表現が観る者を惹きつける。
今季のジュニアグランプリシリーズでの中田は、第1戦タイ大会優勝、第3戦トルコ大会2位と好成績を残してファイナルに進出した。ファイナル(昨年12月、中国)のショートではトリプルアクセルで転倒したミスが響き、4位と出遅れる。しかしフリーでは、4回転トウループと2本のトリプルアクセルを含むすべての要素をクリーンに滑り切った。演技後にガッツポーズを繰り出す会心の演技で、ジュニアの頂点に立っている。
ファイナルの記者会見で中央に座った中田は、先を見据えた。
「このグランプリファイナルで優勝したのは、僕にとってすごく大きなこと。今シーズンまだまだ試合があるのですが、ファイナルで優勝したからといって気を抜かないで、一つひとつの試合を大事にしていきたいと思います」