24日の土曜プレミアム(フジテレビ、午後9時~)は『特別編集版「鬼滅の刃」遊郭決戦編』。「遊郭編」の特別編集版として、先週の「遊郭潜入編」に続き、「遊郭決戦編」が放送される。「遊郭編」の終盤では、鬼となった兄と妹の悲劇的なエピソードが紹介されるが、妹が鬼になる前の「梅」という名前には重要な意味があった。過去の記事で振り返る(この記事は「AERA dot.」に2022年12月18日に掲載された記事の再配信です)。
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【※ネタバレ注意】以下の内容には、今後放映予定のアニメ、既刊のコミックスのネタバレが含まれます。
2023年2月に『鬼滅の刃』「遊郭編」10話・11話と、アニメ新シリーズ「刀鍛冶の里編」1話が劇場公開になることが発表された。「遊郭編」は“遊郭の鬼”と呼ばれる兄妹の物語でもあるが、「雪の日の来訪者」がキーパーソンとして登場する。実は、「雪の来訪者」は炭治郎・禰豆子兄妹など他のキャラクターのエピソードでも“運命の分かれ道”を描く場面で重要な役割を担う。物語における「雪」「冬」には記号的な意味があり、外からの「来訪者」にも重要な意味が隠されている。
竈門家を襲撃した「雪の日の来訪者」
「幸せが壊れる時には いつも 血の匂いがする」―竈門家の長男・炭治郎の留守中、母と弟妹たちが鬼の襲撃にあい、炭治郎のすぐ下の妹・禰豆子だけが生き残った。『鬼滅の刃』の印象的な冒頭は、降りしきる雪と血の場面で始まる。
「なんでこんなことになったんだ 禰豆子 死ぬなよ 死ぬな 絶対助けてやるからな 死なせない 兄ちゃんが絶対助けてやるからな」(竈門炭治郎/1巻・第1話「残酷」)
炭治郎の家族を襲ったのは、鬼の始祖である鬼舞辻無惨(きぶつじ・むざん)だった。炭治郎は禰豆子を人間に戻すために旅に出るが、それはすなわち最強の鬼・無惨との戦いが、運命づけられた瞬間でもあった。
“遊郭の鬼”と呼ばれた兄妹
のちに“遊郭の鬼”となる妓夫太郎・梅の兄妹は、遊郭の最下層で生まれ、梅毒の母を持ち、父はおらず、ネズミや虫を食って飢えをしのぐほど過酷な幼少期を過ごした。
父がいないのは竈門兄妹と同じであるが、炭治郎たちが父を亡くしたのは物心がついてからだ。雨風のしのげる家で育ち、少ないながらも食事をとることはできていた。町の人にも愛され、優しい母と暮らしていた炭治郎と違い、妓夫太郎は周囲から心ない仕打ちをうけて育つ。美しい妹・梅だけが、妓夫太郎の心の支えだった。