「先生の話すことの意味が理解できないんです。同級生たちは普通にわかっているのに。明確なレベル差を感じました。ここはあの京都大学なんだ、本当の意味で賢い人だけが集まる場所なんだって思い知りました」
大阪の自宅からの通学時間は片道1時間40分。京都に向かうことも億劫になった。
「しかも地元のレンタルショップでバイトを始めたら楽しくなっちゃって。自分が作ったポップや並べ方の工夫で売り上げが変わるんです。社会の一部になれた喜びがありました」
ヒャダインさんは大学時代を「大人と子どものグラデーションの時期」と表現する。
「高校生はまだ子どもで、社会から『してもらう側』にいます。でも社会人は自分が『する側』になる。大学生はそのはざまにいて、限りなく子どもに近い学生もいれば、大人の側にいる学生もいる。ぼくは大人の側にいたいのだと、そのときに気づいたんです。……と偉そうに言いますが、そのせいでのちに苦しむことになるんです(笑)」
最初の苦しみは、大学3年生の夏にやってきた。前期試験で久々に大学に行くと、クラスメートのほとんどが就職活動を始めていることを知ったのだ。
「こんなに早くから就活するなんて知らなくて『オレの人生、終わった。もうフリーターしかない』って。そこから始めてもいいのに、『ゼロか百か』で考えちゃうタイプなんです」