甲本ヒロトがバンド活動を始めて約40年が経った。今もなお音楽に感動し続けている理由を語った。AERA 2024年2月5日号より。
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――甲本ヒロトがTHE BLUE HEARTS、THE HIGH-LOWSで共にバンド活動をしてきた真島昌利らとザ・クロマニヨンズを結成したのが2006年。今年2月にリリースするニューアルバム「HEY! WONDER」は実に17作目となる。活動歴17年でこの枚数は驚異的なペースだ。
「『どんなアルバムを作ろうか』っていうことは毎回考えていません。僕とマーシー(真島)それぞれが日々作っている好きな曲をスタジオに持って行って、メンバー4人でそれに挑むところから始まります。その時その時にみんながベストを尽くした結果が曲になる。だからすべては成りゆきです」
「HEY! WONDER」を発売した後は約4カ月にわたる全国ツアーを行うという恒例のスケジュールだ。「ライブもツアーも曲作りも、バンド活動は全部が楽しい」と話す甲本が、バンドを続ける上で一番大事なことは「受け身でいること」だという。
「バンドをやるという行為に楽しませてもらっているんです。愉快なバンドメンバーと一緒にいるだけで楽しい。中学生や高校生が週末にバンドをやるために集まるのがどれだけ楽しいことか。僕らはそれが毎日できます。その上、車や飛行機に乗っていろいろな場所に行って演奏ができる。10代のバンドをやっている子たちからしたら夢のようなことがずっと続いているんです」
後進に大きな影響を与え続けて約40年。昨年3月に60歳を迎えたが、「何も変化はない」と言い切る。
「“Don't Trust Over Thirty”という広く知られている言葉があるので、30歳になったら大きな変化があると思っていました。でも、いざ30歳になってみても何も変わらなかった。マーシーとも『何も変わらないね』と言い合いました。そこからはもうずっと“Too Late To Die”です」
(ライター・小松香里)
※AERA 2024年2月5日号