竹増貞信/2014年にローソン副社長に就任。16年6月から代表取締役社長
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 2024年、世界的にも注目すべき出来事がたくさんありそうです。

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 先日行われた台湾総統選、秋に行われる米国大統領選など、今年は「選挙イヤー」です。

 分断社会、あるいは格差社会が懸念されていますが、世界を見渡せば中国やアメリカ、ロシアという大国も含めて、選挙イヤーを経て、むしろ分断社会、格差社会の様相が鮮明になってしまう、そんな危惧も持っています。

 ではどこに希望を見るか。私はこの夏開催のパリオリンピック・パラリンピックが、世界の人たちに「何かを思い起こさせるきっかけ」になるのではと注目しています。

 社会が分断化する潮流に対し、世界中の人たちがもういちどお互いをリスペクトし合って、一つになる。

 手を取り合って分断・格差という課題の解決に向かう。

東京の街並み。今年は「良いインフレ」を実現できるか

 そんなパワーが生まれる契機になってほしいなという期待を、パリオリンピック・パラリンピックに対して抱いているんです。

 開催国のフランスも移民政策の中でさまざまな課題を抱えています。

 しかし、そこは歴史的に「民衆が国を変えてきた」国。そこで開かれる平和の祭典を世界中の一人ひとりが目にし、何を感じ、考え、どう行動していくか。そこに期待したいと思います。

 日本ではやはり経済に引き続き注目です。

 コストプッシュ型と言われるインフレではなく、全国に賃上げムードが広がり、安定して賃金が上がり、ゆるやかにものの値段も上がっていくという、実態をともなった「良いインフレ」にできるかどうか。

「空白の30年」を日本が乗り越える第一歩を踏み出せるかどうか。

 今年が勝負どころの「分水嶺」になると見ています。

◎竹増貞信(たけます・さだのぶ)/1969年、大阪府生まれ。大阪大学経済学部卒業後、三菱商事に入社。2014年にローソン副社長に就任。16年6月から代表取締役社長

AERA 2024年2月5日号