テスタ/トレーダー。2005年に株式投資の世界に飛び込み、専業トレーダーに。ITバブル崩壊、リーマンショックなど、幾多の市場暴落で退場するトレーダーが続出する中、寡黙に荒波を乗り越え、2020年に利益40億円達成。投資先のメインは日本株、米国株、先物、REIT(不動産投資信託)(撮影/写真部・片山奈緒子)
テスタ/トレーダー。2005年に株式投資の世界に飛び込み、専業トレーダーに。ITバブル崩壊、リーマンショックなど、幾多の市場暴落で退場するトレーダーが続出する中、寡黙に荒波を乗り越え、2020年に利益40億円達成。投資先のメインは日本株、米国株、先物、REIT(不動産投資信託)(撮影/写真部・片山奈緒子)

一億総株主時代到来――。1月から新NISAがスタートし、投資お金について興味が沸いている読者も多いのでは。日本屈指の個人投資家、テスタさんの記事を再配信する。(この記事は、2020年11月7日に配信した内容の再配信です。肩書、情報などは当時)

【写真】本人は否定するが、そのイケメンぶりでも人気のテスタさん

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 「億り人」と呼ばれる、投資で1億円以上のお金を稼いだ人たち。実力と投資センス、そして血のにじむような努力をして資産運用を行う。そんな中でも名前の知られたトレーダーがテスタさんだ。今年、利益40億円を達成した。

 テスタさんが株式投資を始めたのは2005年。15年間で40億円トレーダーになるまで、成功体験ばかりではないだろう。

 「失敗したときの経験を話してもらえますか?」というインタビューに対し、やさしく答えてくれた。その一部を紹介する。

 僕は、「投資に付きものといわれるリスクを取ったつもりはない」と、いつも言っています。それは、「当然、勝てるよね」と誰もが納得できるくらい勝率が高いものを見つけて、勝てそうなときだけ投資してきたからです。

 そんな僕にも当然、「大」がつくほどの失敗はあります。今でも忘れられない大失敗は、2016年1月、さくらインターネットという株を信用取引でカラ売りしたときのことです。

 その頃の僕の資産は6億円くらいでした。さくらインターネットはクラウドなどに使うデータセンターを運営する会社。その株が2015年12月の始値298円から、翌2016年1月13日には高値2110円まで約7倍も上昇しました。

 上昇の材料になったのは、ビットコインなどの登場で、今やすっかり有名になった「ブロックチェーン」という技術です。

 ブロックチェーン、何それ? 2016年の1月といえば誰もがそんな状態だったと思います。

(編集部注:ブロックチェーンはネット上で改ざんされないように、金融の取引の記録を暗号化して数珠つなぎにしていく仕組み。IT<情報技術>と金融サービスの融合を目指す「フィンテック」にとって必要不可欠な技術)

 当時の僕は、このブロックチェーンという材料を軽視していました。ストップ高を連発し、上がり続けるさくらインターネット株を見て、「どう考えても上がりすぎ。下がるまで、ずっとカラ売りし続けよう。損切りはしないぞ」と決めて、信用取引のカラ売り注文を入れたんです。しかし、その後もさくらインターネットはストップ高を連発。たった1週間で損失は1億円以上になってしまいました。

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中島晶子

中島晶子

ニュース週刊誌「AERA」編集者。アエラ増刊「AERA Money」も担当。投資信託、株、外貨、住宅ローン、保険、税金などマネー関連記事を20年以上編集。NISA、iDeCoは制度開始当初から取材。月刊マネー誌編集部を経て現職

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1億円の損失中、テスタさんの体に変化が…