今みたいにYouTubeでMVを観ることが当たり前になると、そのうちMVをパッケージとして買う文化はなくなってしまうかもしれません。だからこそ「MUSIC VIDEO TOUR」はそもそも普通のMV集ではなく、MVを公開順にたどりながら、僕が撮影時のことを振り返っていく映像作品になっている。それが功を奏してるなと。今の時代でもMV集を世に出す意味が、そこにはあると思うんですね。YouTubeでは観られないメイキングや、無駄に長いオーディオコメンタリーも入っているので(笑)。

もっとおかしく

──今回の作品に収録されているMVについて、そのコンセプトなどをいくつか聞きたいと思います。例えば「アイデア」のMVはアルバム「YELLOW DANCER」以降の集大成というコンセプトで作られているんですよね。

星野:「アイデア」という曲自体、そもそもそういった気持ちで作ったものだったんです。そのMVということで、初めは「YELLOW DANCER」の赤から始まって、次に「恋」の黄色、その次が「Family Song」のピンクと、背景がリリースした順にそのジャケットの色に変わっていくんですね。

 あとアルバム「POP VIRUS」の前に出す最後のシングルだったので、終わりを表現したいと思って、僕もバンドのメンバーもみんな喪服を着ています。「YELLOW DANCER」以降の僕のお葬式みたいな、でも祝祭感のある、にぎやかなニューオーリンズのお葬式みたいな、そんなイメージですね。

──「創造」に関しては、曲もMVも「常軌を逸した感じ」にしたかったということですけど。

星野:そうですね。言葉を選ばずに言うと、頭のおかしい作品にしたかったんです(笑)。だからMVを監督した奥山由之くんには、曲を聴いてもらって、とにかくヤバいものにしたいって。「創造」は自分の中でも気合の入っていた曲で、それは売れたいという気合ではなく、おかしくならなきゃという気合だったんです。その時、MVが常識の範囲内に収まってしまうと、曲の聴こえ方も常識の範囲内に収まってしまうので、奥山くんには「もっとおかしく!」というようなことをずっと言い続けて、がんばってもらいました。

──「異世界混合大舞踏会」のMVは、アニメとダンスのイメージがもともとあったそうですね。

星野:曲を作っている時点で、これはダンスだなと思っていたんです。この世と言われている人間の世界と、あの世とか異世界とか言われる、それ以外の場所にいる者たちとが混ざり合って、一緒に踊ろうというテーマの曲だったので、MVもダンスだなって。あとアニメのMVを久々に作りたいという気持ちが高まっていたんですよね。それでかなり前から決めていました。

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