春風亭一之輔・落語家

落語家・春風亭一之輔さんが連載中のコラム「ああ、それ私よく知ってます。」。今回のお題は「サッカー」。

 よくないなぁとは思いつつも、スポーツ全般に興味が希薄だ。

 特にサッカーはテレビで観ていると、必ず前半15分くらいで寝てしまう。無理しても20分が限界だ。サッカーが悪いのではない。私がサッカーにむいてないのだと思う。

 翌日のニュースで、その試合が0-0でPK決着だったなんてことを知ると「寝て正解だったな」と思ってしまう。もう完全にむいてない。もちろんサッカーは悪くない。私がいけないのだ。サッカーのある世界に生まれたこの私の落ち度と言っていい。ごめんなさい、サッカー。許してください。生まれてすいません。

 ちょっと待てよ。ここまで私がへりくだっているのだから、サッカーもちょっと歩み寄ってくれてもいいんじゃないか? と思い始めてきた。おい、サッカー。お前だって少しは考えろよな。チヤホヤされていい気になってないか?

 だいたい試合時間が長い。45分×前後半? 1時間半は長すぎだ。15分くらいでいーんじゃないか? 15分×前後半とか。もしくは毎回試合前にダーツで決めるとか。「5時間」「3時間」「90分」「60分」「30分」「15分」「10分」「5分」「今日は試合なし」みたいに分かれてて、矢の当たった部分の指示に選手も観客も従う。試合なしでも文句は言ってはならない。選手の皆さんには「いい休みがやってきた」と思って欲しい。

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春風亭一之輔

春風亭一之輔

春風亭一之輔(しゅんぷうてい・いちのすけ)/落語家。1978年、千葉県生まれ。得意ネタは初天神、粗忽の釘、笠碁、欠伸指南など。趣味は程をわきまえた飲酒、映画・芝居鑑賞、徒歩による散策、喫茶店めぐり、洗濯。この連載をまとめたエッセー集『いちのすけのまくら』『まくらが来りて笛を吹く』『まくらの森の満開の下』(朝日新聞出版)が絶賛発売中。ぜひ!

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