正直な人は魅力的
――田中が演じる春田は、優柔不断ないわゆる「ダメ男」。しかし、思わず手を差し伸べたくなるひたむきさがある。
田中:ダメダメでも周りから愛される人っていますよね。人間の「ダメさ」って、たくさん種類があるからひと言では言えないですが、やっぱり悪意があるかないかじゃないかな。自分の利益のために他人を利用しようとする人からはやっぱり自然と人が離れていくし、逆にすごくムカつくことを言ってくる人でも、打算がなければ嫌いになれなかったりする。何も考えてないだけかもしれないですが(笑)。相手の立場や関係性にかかわらず正直な人は、やっぱり魅力的だと思います。
能力や経験が足りなくて仕事ができないとか、そういうダメさで落ち込む人もいるかもしれませんが、僕は全然気にしなくていいと思います。自分ができないことを自分が理解しているのであれば、隠す必要もないし、自虐的になる必要もない。むしろ内にこもると成長が止まってしまうから、周りの人に「助けて」と素直に言えることが大切なのかなと思います。本当に頑張っている人を助けない人って、あんまりいないと思うんです。なので頑張っただけ報われる瞬間は絶対あるし、春田みたいに嫌なことはすぐに忘れてしまうくらいがちょうどいいと思います。
(ライター・澤田憲)
※AERA 2024年1月22日号より抜粋