2018年に放送され、日本のみならず世界中で社会現象を巻き起こした連続ドラマ「おっさんずラブ」。その続編となる「おっさんずラブ-リターンズ-」について主演の田中圭さんが語った。AERA 2024年1月22日号より。
【写真】蜷川実花が撮った!AERAの表紙を飾った田中圭さんはこちら
* * *
――今作では、共演者との関係性も変わる。後輩の牧(林遣都)とは結婚して恋人から家族に、牧の恋敵である上司の武蔵(吉田鋼太郎)は会社を早期退職して、家政夫として二人の前に現れる。
田中圭(以下、田中):すごい絡ませ方ですよね(笑)。前作の終わりに、武蔵がものすごくかっこいい決着の仕方をしたので、「武蔵ともう1回どうやって絡むの!?」と内心思っていました。「記憶喪失になるしかないんじゃないの?」って(笑)。でも続編の台本を読んで、「こうきたか!」と素直に感動しました。これまでの上司・部下の関係から一歩進んで、武蔵の母性というのか、無償の愛を感じます。その一方で、牧とは恋のライバルではなく、嫁姑の立場からバトルを繰り広げるという……(笑)。
テーマは「家族愛」
前作が「純愛」だとすると、今作は「家族愛」がテーマですね。そうなると、掛け合いの仕方とかも自然と変わってくるところはあると思います。ただ僕らの強みは、前作から5年経った今まで、リアルでもずっと良い関係が続けられていること。友達でもない、先輩後輩というだけでもない、「家族ぐるみ」と言うと照れくさいですが、本物の家族のような強くて温かい関係性を築いてこられたことは、すごくありがたいです。そういう安心感が役を通じて画面に表れてくれれば、奥行きのあるすごく面白い作品になると思います。
――第1話には、牧と些細なことで喧嘩を繰り返す春田に対し、武蔵が「新婚生活は家族になるための入り口。許し、認め合い、だんだん家族になっていく」と諭すシーンが登場する。田中自身は、人と長く付き合うためのコツは「求め過ぎないこと」だと話す。
田中:期待はしますが、期待し過ぎない。実際にはすごく難しいことですが(笑)。家事も分担してやっていると、「俺が皿洗っているんだから、あなたは風呂洗ってよね」とか、思いがちだと思います。でも、「自分がこれだけやったから相手もこれをやるべきだ」みたいな考え方は、僕はちょっと違う気がしていて。お互いに快適に過ごすためにルールがあるのに、いつの間にかルールを守ること自体が目的化しているというか……。ルールを破られたらムカついたり悲しくなるのはわかりますけど、相手のためにというより、自分がやりたいからやる。一緒にいたいからいる。自分の物差しで相手をはからないことが、イライラせずに長く一緒にいるためには必要なのかなと思います。