食器を片づけて作業スペースの確保が必要だったキッチン/ビフォー

  さらに、今まではいつも「片づけないと」という悩みが気持ちの大部分を占領していたので、遊びに行っても素直に楽しいと感じられませんでした。でも、今は違います。

「何をしても本当に気持ちが軽くて、すごく楽しいんです! 仕事も遊びも、集中できているなって感じています。私、ADHDのような注意欠如や多動症があると思っていたんですが、片づけをしたらその部分も変われました。何でも病気だからと終わらせないで、環境を変えてみることって大事ですね」

 対人関係でも苦手意識のあった彼女が、今では子どもの学校のPTA活動に積極的に参加し、隣に住む80歳の女性を家に招いてお茶をするほど社交的に。

「お隣さんとは挨拶をする程度だったんですが、一度外で話したときにおうちに入れていただいたことがあったんです。それで、『今度はうちに来てくださいね』という話をしたんですが、そこから1年越しにやっと呼べました」

スッキリ整理できて料理にかかる時間が激減しました/アフター

 お隣さんとは子育てのことを相談したり、とても楽しい時間を過ごしたそう。

「こうやって人を家に気軽に呼べるのも、家が片づいたからなんだなと思うと、うれしくって。近所の目とか気になることもありましたが、ちゃんとお話をするとすごく仲よくなれますね。その年齢にならないとわからないことも教われるし、勉強になります」

 家が散らかっていることは、生活しづらいだけでなく、心にも影を落とします。「片づけなきゃいけない」という義務感や、「片づけられない私」という劣等感を抱くのをやめると、毎日が楽しくなるということを彼女が教えてくれました。

 片づける前と後では、彼女の笑顔の輝きが全然違います。この心からの笑顔がもっとたくさん増えてほしいなと願います。

●西崎彩智(にしざき・さち)/1967年生まれ。お片づけ習慣化コンサルタント、Homeport 代表取締役。片づけ・自分の人生・家族間コミュニケーションを軸に、ママたちが自分らしくご機嫌な毎日を送るための「家庭力アッププロジェクト?」や、子どもたちが片づけを通して”生きる力”を養える「親子deお片づけ」を主宰。NHKカルチャー講師。「片づけを教育に」と学校、塾等で講演・授業を展開中。テレビ、ラジオ出演ほか、メディア掲載多数。

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