この記事の写真をすべて見る

 権太郎(通称ゴン、写真)です。
 17年前の正月、年賀を兼ねてやって来た長男が、「忘年会のビンゴゲームで当たった1等賞の賞品」だと、小さな段ボール箱を差し出しました。箱を開けると生後1カ月ほどの可愛い子犬がキョトンとした顔で入っていました。夫婦2人きりでは寂しいだろうと息子は言い、「これラブラドルだよ。すごいだろう?」と自慢げでした。
 ゴンは、私たちが家の中にいる間はいつも後を追いかけ、離れません。車での外出の際は後部座席が指定席。朝夕の散歩もいつも3人一緒でした。
 夜は和室に川の字に布団を敷き、もちろん真ん中が可愛いゴンの布団です。
 彼は食欲旺盛でどんどん成長しましたが、3カ月を過ぎたころ、垂れていた右の耳がピンと立ちました。
 あれっ! では、ラブラドルではないってこと?
 そしてさらに2カ月後、左の耳も立派に(?)立ち上がり、やがて13キロの中型犬になりました。ゴンは雑種だったのです。
 顔立ちは実に柔和。柴犬のような俊敏さもなく、おっとりしています。
 近所の子供たちには、優しい表情と人懐っこさが受けて、ゴンちゃん! ゴンちゃん!と大人気。門柱の表札にも新しく、私たちの名前の次に“権太郎”と記しました。
 そして今、ゴンは17歳。人間ならとうに80歳を超えているでしょう。ゴンは相変わらず、川の字の真ん中の自分の布団で、思い切り手足を伸ばして熟睡しています。
 最近は認知症が少し進行し、朝夕の食事の後、まだご飯をもらっていないとアピールすることが多く、そのせいか肥満が目立つようになりました。その対策に苦慮していますが、ゴンは元気です。

(渡辺順二さん 千葉県/79歳/無職)

【原稿募集中!】
「犬ばかばかペットばか」では、みなさまからの原稿をお待ちしております。
原稿は800文字程度で、ペットのお写真を添付のうえ、下記メールアドレスまでご送付下さい。
必ず名前、住所、年齢、職業、電話番号のご記入をお願い致します。

尚、掲載は本コーナーと「週刊朝日」の誌面となります。謝礼は6千円。
mypet@asahi.com
※著作権は本社に帰属します