旧ジャニーズ事務所が設立するエージェント会社の社名が決まった。世間が沸き立つ中、複雑な思いを抱くファンは少なくない。AERA 2023年12月25日号より。
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待ちに待った、旧ジャニーズ事務所が設立するエージェント会社の社名が決まった。
その名は、「STARTO ENTERTAINMENT」(スタートエンターテイメント)。12月8日に公式サイトで発表され、社長には、かねてから噂のあったコンサルティング会社社長の福田淳氏(58)が就くとした。翌9日、福田氏は報道陣の取材に「日本の芸能界を近代化させるきっかけにしたい」と改革への意欲を語った。
新会社を巡っては10月2日、旧ジャニーズ事務所から社名変更したSMILE-UP.(スマイルアップ)社長の東山紀之さん(57)が記者会見で、「約1カ月以内に設立する」と公言。その後、新社名はファンクラブで公募していた。それだけに、待ち焦がれていたファンは少なくなかった。新社名が公表されると早速、SNS上では「いい名前! 期待しているよ!」「なんかいいづらいなぁ」など様々な声が飛び交った。
今でも「全部好き」
だが、こうした騒ぎをよそに、複雑な思いを抱いている旧ジャニーズファンは少なくない。
「新社名も、社長に福田淳さんが就任したことも、どうでもいいです」と、東日本に住む女性(39)は話す。
小学校4年生の時から、東山さんのファン。彼がホスト役を演じるテレビドラマを見て、その美貌に魅せられた。今でも東山さんのことは「全部好き」。その東山さんのことが、新社名や新社長より、気になって仕方がないのだ。
今年6月、東山さん個人のファンクラブが設立された。その時、東山さんはファンに向けた動画で、「あと20〜30年は現役でいられるんじゃないかと思います」とメッセージを送った。同女性もずっと応援するつもりでいた。そして、東山さんには旧ジャニーズ事務所を出て、妻で俳優の木村佳乃さんと一緒にプロダクションでも立ち上げてほしいと願っていた。それだけに、これまでのキャリアをすべて捨て社長になるというのは、予想もしないことだった。第一報を聞いた時、「嘘であってほしかった」と願った。
「しかも、東山さんもジャニー喜多川氏から性暴力を受けた被害者の一人かもしれないと思います。そうであれば、被害者である東山さんが社長になって加害者のジャニー氏の代わりに責任を取らされるのは……。考えれば考えるほど、暗澹とした気分になります」