カラオケボックスのようにずらりと個室がならぶ。計37部屋あり、6歳になって繁殖から引退させた猫だけがいる「引退ルーム」のほか病気の猫たちが集められている部屋などもある。(撮影/太田匡彦)

大久保 寄生虫の問題も(新潮に)書かれたので、検便を徹底的にやるようにしています。僕は、寄生虫もゼロにできると思っています。いまAIを使って画像データの分析を始めている。AIを使うと1秒かからずに便の検査ができる。顕微鏡で便の写真を撮り、その中身をすべてAIがチェックしてくれるんですよ。獣医師の能力を超える正確性を示してくれています。

 だが現実に、Coo&RIKUでは消費者トラブルが起きている。生き物を販売していれば、死んだり病気になったりする事例をゼロにすることが難しいのはわかる。そのうえで流通・小売業者としての責任をどうとらえているのだろうか。

大久保 結局、(年間)5万頭を流通しているなかですから、(消費者トラブルの)数は多くなってしまう。99%のお客様(のもとに行った犬)に関しては健康で育っている。1%のお客様がいるのは確かです。そのお客様は1分の1でうちから買っているわけで、お客様にとっては100%の確率で死んでいることになるから、納得いかないだろうなとは思う。だから僕らのできる範囲でチェックして、健康な子犬・子猫を販売していけるようにしたい。そこには獣医師の力が必要だし、スタッフに対する教育も必要。法規制も、あって当たり前だと思っている。

「命」と同等額は「命」

 購入した犬猫に健康トラブルが生じた消費者に対して「交換します」といった対応をしたことも、問題になっている。従業員の教育も含めて、Coo&RIKUという会社に至らない点があるのではないか。

大久保 いま言われていることは、すべてを反省材料として受け入れています。生体を売った法律的責任をどう負うかという話で言えば、以前は全額保障をやっていたのですが、金融庁と消費者庁から「保険業法違反だ」という指摘を受けた。だから全額保障をかけられなくなり、では生体売買の保障となると、同等額の(物品との)交換が、一般的には一番の保障になる。ただ、売っているものは「命」なので、「同等額」となると、それも「命」になってしまう。そこに批判が生じているわけですけれど、逆にそれを(契約書に)書かなければ何も保障しない形になってしまう。だから書かざるを得ない。

子猫は出荷当日まで、母猫と一緒に過ごす。「体重が当社の基準に達していない場合、生後56日を超えていても出荷を見送ります」(大久保氏)(撮影/太田匡彦)
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