繁殖場に貼られていた清掃時のチェック項目。大久保氏は「真菌対策で、少なくとも2カ月に1回は薬用シャンプーもしています」という。(撮影/太田匡彦)

客の意見を上げないのを「美徳」とする雰囲気ある

 今後は少額短期保険を立ち上げて、亡くなった場合の金額返金ができるようにしたい。今度は「お金じゃない」と言われちゃうと思うんですけど、今の「代わりにワンちゃん」としか(契約書に)書けないよりは、一番の保障になるかなと考えています。

(Coo&RIKUは)店舗数も多いので、店長は契約書通りやらなければいけない。でも店長の資質によって、収まり方は違います。今回のことを反省して、今後は店長が応えやすいように取り組みます。今回の件を振り返ってみると、店長が、お客さんの意見を受け止めて本部にまで上げないのを美徳とするような雰囲気も、やっぱりあるとは思う。風通しよく、情報を素早く(上にあげる)というのは、お客様相談室をつくったりしていくしかないなとは思っています。

変わらなければ、この業界は潰れる

Coo&RIKU公式サイトから

 劣悪な環境での繁殖、販売をなくしていこうという社会的な動きについて、どう考えているのか。業界最大手として、その姿勢が問われているのではないか。

大久保 業界全体が立ち止まって考える時期に来ていると思います。社内では「この業界の流通を壊そう」と、僕はずっと言ってきました。ブリーダーさんから買う、オークションで買うという流通が、僕はどうしても嫌なんです。そこの問題をすべて解決するための自社繁殖です。僕らは僕らで、(業界全体とは)違う道を進んでいくべきだと思っています。

極論すれば、ペットショップはいらない

 僕個人の主観に基づく将来像ですが、ペットショップはなくなったらいいと思っています。極論ですが。犬やなどのペットを飼う社会はなくならないと思うし、なくなっちゃいけないと思う。でも一方で、ペットショップはいらない。繁殖業者から流通・小売業者を介すのか、繁殖業者が直接売るのかという違いですが、そこ(繁殖業者が直接売るという商流)に行かなければいけないと思っている。ペットショップ自身が繁殖場を持っていれば、在庫リスクも生じにくくなりますし。だから僕らは僕らで繁殖をグループ会社でやっていて、そこでの繁殖は法律を正しく守ってやっていきます。

 正直にいえば、業界全体のことはどうでもいい。でも僕らは、この業界のなかにいる。「ペットショップで犬や猫を売るな」という声も一部で出始めている。この業界が変わってほしい。それができなければこの業界は潰れると、僕は思っています。

 Coo&RIKUが起こした名誉毀損訴訟の判決は、来年1月18日に言い渡される予定だ。

(朝日新聞記者 太田匡彦)

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