中型犬用の犬舎。日本国内では見慣れない設備だが、中国から取り寄せたものという。「犬舎は全般に屋外に近い環境にあり、もちろんゴキブリはいる。でも『大量発生』はしていない」(大久保氏)(撮影/太田匡彦)

 新潮が報じた「D犬」リストの存在とその内容については、私も2017年6月以降、何度か報じている。死産が含まれる繁殖業者のもとでの死亡率と、ペットショップにおける死亡率とが異なる意味を持つのは当然だが、新潮の記事を読むと、Coo&RIKUは「D犬」リストの存在そのものも含めて否定するコメントを出していた。D犬リストの実物はいまだ私の手元にあり、この点についてCoo&RIKUの新潮への回答は事実に反している。

大久保 繁殖場のD犬率と流通過程のD犬率と、販売してからのD犬率は、それぞれ全然意味が違います。そこを一緒くたに報道されているというのは問題だと思いました。

(Coo&RIKUのビジネスのあり方が)「闇」だと思われているので、やはり真実を訴えないと誤解を生んでしまう。業界全体が正しい判断をしてもらえないのではないかという思いがある。消費者が知らなくてもいいところもあるとは思う。でも知らないからこそ多分、誤解が生じてしまっているところがある。

 やはり新潮に、Coo&RIKUが運営する繁殖場は「ゴキブリだらけ」「天井から何十匹と降ってきた」などの記述があった。また、パルボウイルス感染など健康管理上の問題も指摘されている。私が独自に入手したデータによれば、Coo&RIKUが販売した子犬・子猫について、感染症などの発症率が平均値より高めに出ているという事実もある。

ゴキブリはいても"わんさか”は「決してない」

大久保 ゴキブリは、いるかいないかと言われたらいますよ。でも、ぽたぽた落ちてくるレベルでは決してないです。僕も年2回はそれぞれの繁殖場に行っています。ゴキブリがわんさかいるというのは決してない。

 繁殖場には獣医師が、平均すれば月に2回程度、多いところでは週1回のペースで巡回しています。(パルボウイルス感染の事例は)損害保険会社から取り寄せたデータを見ると、年に数件です。(Coo&RIKUで購入した飼い主で)保険に入っていない方もいるので、3割増し程度で聞いていただければと思いますが、20年はオークションからの子が18件、自社繁殖では2件出ていた。ブリーダーさんから直接買った子からも2件。それが21年は自社繁殖は1件、ブリーダーさんからが2件なのに対し、オークションからは11件。22年も23年も今のところ自社繁殖では0件。一方で22年で見ると、オークションは3件、ブリーダーさんからの子は1件。ブリーダーさんからの分は減っていないように見えるけど、取引量が増えているので、「率」は減っている。逆に言うとオークションは取引量が減っている。

 新潮には寄生虫の問題も書かれていた。大久保氏は「1カ月にだいたい4千~5千頭くらいを無差別チェックした」自社のデータと、競合他社とのデータを比較し、検便の結果は「うちのほうが(駆虫できていない確率は)低い」と説明する。だがそのデータは、比較対象とする競合他社の選び方が恣意的であるように思えた。業界内で一般に「問題がある」とみられているチェーンのものと比較したデータだったからだ。そうしたやり取りのうえで、こう話した。

猫たちはオス1匹に対してメス6、7匹が一つのグループとなり、個室に入れられている。メスに発情期がきたら、自然に交配するという。メスたちはもともと店舗で販売されていて売れ残ったものが、一時的に同社が経営する猫カフェの猫となり、1歳くらいになると繁殖場に連れてこられる。(撮影/太田匡彦)
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