……でもそれはそれで、ちょっと哀しい。というより、そんなバカな。自分でつっこんでみました。
でもイメージというものは大切です。どうやらカバも動物の専門家に言わせるとメチャクチャ危険らしい。それにしても、カバのイメージは良すぎます。カバが嫌いな子供はいないでしょう。最初に接するカバは……うがい薬のアイツでしょうか。ならばアイツにもちょっと手を加えて危険な香りを漂わせてみますか。
たとえば、持ってるコップの中にミントが入っててちょっとモヒートに見えてチャラいかんじにしたり、首に巻いてるマフラーをトゲトゲの付いた首輪にしてみたり、虚ろな眼にして歯をボロボロにしてみたり、手にクサリガマ持たせてみたり、舌にピアスしてみたり…………もういいですか? そうですか。
秋の夜長に、他愛もない妄想話。熊に注意、カバにも注意、あとは……ニホンザルも怖いですから、『さるかに合戦』のサルの左手はサイコガンにして……もういいですね。それではまた。
春風亭一之輔(しゅんぷうてい・いちのすけ)/1978年、千葉県生まれ。落語家。2001年、日本大学芸術学部卒業後、春風亭一朝に入門。この連載をまとめたエッセー集の第1弾『いちのすけのまくら』(朝日文庫、850円)が絶賛発売中。ぜひ!