表紙起用の比重高まる

 その頃、SMAPや嵐など、従来のアイドルの枠を超え、社会的な影響力を持つグループが次々と現れ、人気は絶大なものとなっていきました。

 本誌は同事務所と和解をして、タレントの表紙撮影やインタビュー取材を実現したいと考えるようになり、つてをたどって和解を模索したこともありました。そしてその過程で、事務所から「関係を正常化したい」という話があり、13年に取材が解禁された、と当時を知る元編集長は言います。

 AERAの表紙には、13年4月15日号の櫻井翔さんを皮切りに、同年5月6-13日合併号にはSMAP、同年9月9日号には生田斗真さん、同年12月30日-14年1月6日合併号には嵐が登場しました。13年度には4回だった同事務所のタレントの表紙は、その後徐々に増えていき、18年度には6回、19年度には10回、20年度には11回となりました。そして、コロナ禍で海外からのアーティストなどの来日が激減し、取材、撮影が難しくなるなどの影響もあり、21年度には17回、22年度には18回と、登場回数が格段に増えました。

 21年度当時の片桐圭子編集長は言います。

「頼りすぎはよくないという意識はありました。ただ、ジャニーズ事務所のタレントを表紙に起用すると販売が見込めて製作部数が増やせる。部数減を何とかしたい、そして新たな読者層にAERAを知ってもらいたい、という思いから、表紙に起用する比重が高まっていきました」

良好を維持しなくては

 22年度から編集長になった私も、同様です。人気や知名度が抜群の同事務所のタレントを表紙に取り上げることで、AERAをより多くの人に読んでもらいたいという思いがありました。紙の雑誌の売れ行きが厳しくなっていくに従って、依存度が高まっていったのは間違いありません。

 そして、表紙をはじめ、誌面で取り上げることが多くなるにつれ、また本誌だけでなく当社のさまざまな媒体で取り上げることが増えるにつれ、なるべく同事務所との良好な関係を維持しなくては、という空気が社内にできていきました。

 19年7月に喜多川氏が死去した際に、AERAでは追悼記事を掲載しています。ただ、その時には、喜多川氏の栄光について書いているものの、最高裁で判決が確定したあとだったにもかかわらず、性加害については触れていません。当時の片桐編集長は言います。

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