森氏が言及していたのは、ヒューマノイドなどのロボットに関してだが、巷間ではコンピュータグラフィックス(CG)などに対しても、この概念が適用されている。
では、伊藤園のAIタレントは、「不気味の谷」を超えたのだろうか。
栗原教授は「これよりも前に、既に超えていました」と話す。
「例えば、ハリウッド映画などのコンテンツビジネスではリアルなCGというのは前々から使われています」
それでは一体いつ頃から「不気味の谷」を超えたのだろうか。栗原氏は言う。
「間違いなく、転換期はディープラーニング(深層学習)を使った技術であるGAN(敵対的生成ネットワーク:偽物の画像を作るAIと真贋を見抜くAIを競わせることで精度を高めていく手法)が出てきた、5年くらい前からだと思います。いまではCGに関しては簡単に自然な人間を作ることができますし、ChatGPTの登場により、自然な会話も可能になりました」
ディープラーニングが開発されて以降、世界は第三次AIブームのただなかにある。最近では、アメリカのOpenAI社が開発した対話型AI「ChatGPT」のユーザー数がわずか2カ月で1億人を突破するなど、更にAIに対する注目度は高くなっている。