国内初の「AIタレント」。言われなければCGだとはわからない。伊藤園提供

 ついに「不気味の谷」を超えたか――。伊藤園がCMに起用した「AIタレント」のことである。

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 伊藤園が「お~いお茶 カテキン緑茶」のCMに起用した「AIタレント」が話題だ。映像では、ショートカットの女性がスキップしたり、お茶を飲んだりしている。また、女性は未来の年齢を重ねた姿と現在の姿の両方が登場するが、同一人物であると容易にわかる。

 AI研究者である東京大学の松尾豊教授は、このCMのAIをこう評価する。

「作成した人物の外見の一貫性を保つのが大変だったのではないでしょうか。動画の最初と最後で、顔が別人のようになってしまったり、服や髪色が変わってしまったりということはAIで作成する際によく起きます」

笑った顔も人間そのものだ。伊藤園提供

 AI技術の進化は目覚ましい。現在は様々な表情を表現することもできるようになったという。松尾氏は言う。

「日本人と外国人の微妙な表情の違いなどを表現するのは難しいと思いますが、笑顔や泣き顔など一般的な表情で作れないものはそんなにないですね」

 CMに出演しているAIタレントは、一見しただけではAIなのか、本物の人間なのか、判別できほど作りこまれている。制作を担当したAI model社によると、大量の顔写真などをAIに学習させ、女性の顔を生成。目の大きさや鼻筋の太さなど、微調整を施して完成させたという。

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唐澤俊介

唐澤俊介

1994年、群馬県生まれ。慶應義塾大学法学部卒。朝日新聞盛岡総局、「週刊朝日」を経て、「AERAdot.」編集部に。二児の父。仕事に育児にとせわしく過ごしています。政治、経済、IT(AIなど)、スポーツ、芸能など、雑多に取材しています。写真は妻が作ってくれたゴリラストラップ。

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CMに人間以外が使用される流れに?