戎橋は“阪神フィーバー”があると、道頓堀川へ飛び込む人がいることで知られている。大きな事故や混乱を避けるための警備に余念が無い。
2アウトになると遊歩道にあふれるファンたちからは、「あーとひとり」の大合唱が始まる。
そして、スマホで実況中継を見ている人が、口々に「勝った」「やったー」と叫ぶと、「バンザーイ!」の大きな歓声に包まれ、「六甲おろし」の大合唱が始まった。
記者のまわりでは「最高!!」と声をあげて抱き合う人や、缶ビールをかけあう人などでごった返した。
戎橋の上から警官が手を左右に振って遊歩道の人を出口に案内しようとしていたが、それが阪神の優勝を祝福しているように見えたのか、
「警察官、警察官」
と大きなコール。警官がメガホンで叫ぶ声もかき消されてしまった。
完全封鎖
午後9時を過ぎると戎橋を目指してやってくる人が、御堂筋にまで達した。
橋では警官が、
「封鎖! 封鎖します」
と立ちふさがり、10分ほど戎橋は完全封鎖となった。
そして、道頓堀川では、厳戒態勢の戎橋からではなく、川岸の遊歩道から若者が飛び込み始めた。
その横には、「飛び込まないで」と大きな看板があるがお構いなしの様子。聞いた限りでは10人ほどが飛び込んだという。そして近隣の飲食店のなかには、トラブルに巻き込まれないようにとシャッターを下ろす店もあった。
さっそく優勝セール
一方で、「ビール無料」と一足早い夜の優勝セールを始める商魂たくましい店もあった。
川への飛び込みは危険でもあり、ルール無視の行為でいただけないが、優勝を待ち焦がれたファンたちの喜びは、日付が変わった未明まで続いていた。
(AERA dot.編集部・今西憲之)