宮本は三塁手2年目の2009年から12年まで4年連続で三塁ゴールデングラブ賞と再生された。三塁を守るコツをこう話している。「遊撃が本職の内野手が足を使って打球の正面に入ろうとすると、逆に捕球が間に合わない。だから横着だけど、反応を遅くして逆シングルで捕るぐらいがちょうどいい」
宮本は11年、43年ぶりに三塁手守備率を更新する史上最高の・997をマーク(守備機会292、失策1)。41歳にしてリーグ3位の打率・302。プロ17年目にして初のベストナインに輝いた。42歳の翌12年には、1969年に巨人の長嶋茂雄が持つ三塁手連続守備機会無失策記録214を破り、257まで伸ばしている。また、通算2000安打を達成した。
【3】石井は「逆コンバート」。98年内野コンプリートで横浜優勝
阪神の鳥谷敬も2015年まで遊撃で4度のゴールデングラブ賞のあと、16年は巨人の坂本勇人が遊撃で初のゴールデングラブ賞。17年の鳥谷はコンバートされた三塁で初のゴールデングラブ賞を受賞している。
さて、逆に珍しい「三塁→遊撃」のゴールデングラブ賞もあるので挙げておこう。宮本慎也と同い年の横浜の石井琢朗。1996年に横浜に大矢明彦監督が就任し、それまで三塁手で3度のゴールデングラブ賞を受賞していた石井を遊撃にコンバートした。石井はプロ入り時は投手だった強肩、通算358盗塁の俊足を生かし、広い守備範囲を誇った。
98年は捕手・谷繁元信、一塁・駒田徳広、二塁・ロバート・ローズ、三塁・進藤達哉、遊撃・石井と内野をゴールデングラブ賞のコンプリートだ。横浜は38年ぶりの優勝を遂げた。谷繁は当時をこう述懐している。「守護神・佐々木主浩さんの『大魔神』ぶりと、『マシンガン打線』ばかりクローズアップされたけれど、内野の守りは鉄壁だった」。進藤と石井の三遊間はなかなか破れなかった。