きらめく光が目にまぶしく、爽やかな風が心地よい、新緑の季節がやってきました。若葉が萌える5月は、芽吹いたばかりで透き通るようにみずみずしい“青もみじ”がことさら美しいですね。
前半は初夏を思わせる気候が続いたこのゴールデンウィーク。後半はぜひ景勝地や自然の中を散策し、青々とした新緑を愛で楽しむ、“青もみじ”狩りへ出掛けてみませんか。
なかでも京都の“青もみじ”は、ひときわ圧巻。しばし、心を癒しに、緑の中へ、絶景の中へ……

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桜も、紅葉もいいけれど、若葉・新緑のころも圧倒的に美しい京都

「絶景かな、絶景かな~」とは、歌舞伎「楼門五三桐(さんもんごさんのきり)」で、大盗賊・石川五右衛門が京都・南禅寺の三門の上からの眺めに感嘆して言うせりふ。
桜が咲き誇る春も、錦繍の紅葉に染まる秋もいいけれど、この時期、新緑爽やかな“青もみじ”の京都もまた、壮観な絶景に包まれます。
きらめく光に透き通って見えるのは、芽吹いたばかりの若葉が折り重なり、新緑のタペストりーを織り上げる“青もみじ”。その繊細な美しさを目にすれば、すっと心が解き放たれ、癒され、穏やかな心地良さの中で、明日への活力がみなぎるのを感じることでしょう。
花粉の飛来がひと段落し、吹く風が爽やかなこの季節の京都は、一年中で最もみずみずしく、すがすがしいとき。“青もみじ”に包まれて憩う、散策や旅にいい季節です。

青もみじの海に浮かぶ「東福寺」では、5月6日まで大伽藍を。10日まで三門を特別公開中!

三千院、貴船神社、下鴨神社、法然院、蓮華寺……青もみじの名所と言われる場所は数あれど(京都中が緑あざやかな名所かもしれませんね)、ここでは京都五山文化の一角を担う約60,000坪もの巨刹「東福寺」をご紹介しましょう。
JR奈良線・東福寺駅からそぞろ歩くと、境内へと導く「月下門」が。その先に続く「臥雲橋(がうんきょう)」に一歩足を踏み入れると、そこに突然、目も心も奪う絶景が待っています。
橋の上から眼下に一望できるのは、青もみじの大雲海が広がる渓谷・洗玉澗(せんぎょくかん)。緑の雲の波濤の間には「通天橋(つうてんきょう)」の姿も見え、彼方に架かる橋を渡れば、別世界へ、天上へと導かれるように思えるほどの壮大な眺めです。
境内へと入り、開山堂へ続く「通天橋」を渡る一瞬一瞬もひときわドラマティック。まるで新緑の波間を進むように錯覚させる壮麗な青もみじ体験は、ここ東福寺ならでは。
その後、橋から谷へと下れば、小川せせらぐ渓谷で浴びる木漏れ陽に身も心も洗われます。
今なら、5月6日(水)まで、京都最大級の大伽藍を。5月10日(日)まで、国宝の三門を特別公開中。これら特別拝観も、この時期のお楽しみです。
※大伽藍特別公開
http://www.tofukuji.jp/function/index.html
※国宝・三門特別公開
http://www.tofukuji.jp/function/sanmon.html

2014年、国指定名勝となった重森三玲による「八相の庭」も必見

鎌倉・室町時代の寺宝を有し、国宝・重要文化財の建造物が建ち並ぶ東福寺。青もみじを堪能した後は、昭和を代表する作庭家・重森三玲による「八相の庭」もまた必見です。
永遠のモダンとたたえられ、あまりも名高いこの庭園は、2014年に“国指定名勝”に登録。広大な方丈の東西南北に四庭が配され、「八相成道(はっそうじょうどう)※釈迦の生涯の八つの重要な出来事」にちなみ「八相の庭」と名付けられたとのことです。
正方形に刈り込んださつきの緑と白砂がコントラストを描く西庭。北斗七星を表現した東庭。ウマスギゴケの緑と敷石が市松模様を描く北庭。210坪の枯山水・南庭。禅寺の質実剛健な風格とモダニズムが共存した庭を見つめていると、いつしか迷いや悩みがうっすらとはがれ落ち、今ここにある幸せをシンプルに大事にしたいと想えるかもしれません。
――心を映す庭の眺めと、心をうるおす青もみじ。
ぽっかりと、のどかな初夏の一日。また帰っていく日常を輝かせるために、現実からしばし離れ、心遊ばせるひとときを楽しみつくしましょうか。