AERA 2023年9月11日号

――翔吾にシンパシーを感じていたからだろうか。作品のクライマックスとも言えるボクシングの試合のシーンで翔吾が発する言葉の数々は、翔吾が発しているのか、演じる横浜本人の言葉なのかわからなくなるほど、生っぽさがあった。

横浜:仁一にボクシングを教えてほしいと懇願するシーンで「今しかねぇ」というセリフがありますが、それも翔吾の言葉だけれど、僕の心の中から出てくる言葉でもあると感じました。「人間、いつ死ぬかわからない」「人生一度きりなのだから、後悔しないように生きたい」というのは僕自身、常に心に刻んでいることです。

やっぱり格闘技が好き

 自分の周りから大切な人がいなくなってしまう経験を重ね、そうしたことをより強く感じるようになりました。たとえば、僕はおじいちゃん子で、「いつか絶対に空手のトロフィーを見せる」と伝えていたのですが、祖父は僕が小学生の頃に亡くなり、結果を出せるようになったのは中学生になってからだったので、「間に合わなかった」という思いが残りました。中学時代の親友が20歳を超えてバイクの事故で亡くなったときもそうです。本当に何が起きるかわからないので、大事に生きていかなければ、と改めて思うようになりました。

(ライター・古谷ゆう子)

※AERA 2023年9月11日号より抜粋

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