取材では、記者の目をしっかりと見て、過去の経験やエピソードを交えながら、どんな質問にも一つ一つ丁寧に答えた[撮影/蜷川実花、hair & make up 永瀬多壱(VANITES) styling 伊藤省吾(sitor) costume セブン バイ セブン、ラッド ミュージシャン]
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 ボクシングに己のすべてをかける男たちの生き様を描いた映画「春に散る」でプロボクサーの青年を演じた横浜流星さん。その役どころを語った。AERA 2023年9月11日号より。

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――公開中の映画「春に散る」で佐藤浩市とともにW主演を務める。原作は、沢木耕太郎の同名小説だ。

 演じるのは、一度はボクシングを諦めたプロボクサーの黒木翔吾。元ボクサーの広岡仁一(佐藤)と偶然出会い、再び自分の道を歩み始める。決して生半可な気持ちでは受けることができない、ハードな役柄だ。

横浜流星(以下、横浜):僕も幼少期からずっと極真空手をやってきて、この世界に入っていなければ格闘家の道を目指していたと思います。だからこそ、生半可な気持ちではできないという思いがあり「やるからにはボクシングの練習時間をください」と、まず伝えました。自分のなかのもう一つの世界線の夢が叶う作品なので、お話を頂いたときから興味はあり、その後、プロデューサーの星野秀樹さんから手書きの熱い手紙を頂き、瀬々敬久監督からも「今しかないこの瞬間を大切に、切り取りたい」という言葉を頂き心が動かされました。求められることは、役者にとって非常に嬉しいことです。

 僕が演じた翔吾は、感情表現は異なるものの、根は僕と大きく変わらず共感できるところが多い人間です。翔吾の言葉や行動は他人事とは思えず、どこか自分ごととして捉えていました。「ぜひやりたい」という気持ちで臨みましたが、いざ撮影が始まると、身も心も削られるような、過酷な旅でした。

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