『Mini Surveyor MS-06』という野波教授が開発したドローンは、自動で離着陸できるだけでなくバッテリーも自動交換する。この世界初の技術により、長時間の運用が可能になっているという。他にも、映画「エイリアン」に登場したパワーローダーを彷彿とさせる双腕ロボットを開発するなど、ドローンに限定せず、日本のロボット研究のトップを走っていると言える。

 福島第一原発に投入される予定のドローンも、野波教授が開発したものだ。そもそもロボットは、人間にとって危険な場所、人間が入れない場所で、危険な作業を代替させるために開発される意味あいが強い。そういった意味では、長時間作業が不可能な量の放射線がある福島第一原発内での作業に、ロボットが投入されているのはもっともなことだ。細かな作業は別にして、移動などの基本動作は自律制御されていることが望ましい。まさにいま、日本で求められている技術だと言える。

 ドローンをはじめとする自律制御ロボットの活用範囲は広い。しかも、現在のドローンのように一般の人でも手軽に求められる価格になってくると、活用範囲は飛躍的に広まってくる。そのために、今回のような事件で悪用されることはきわめて残念だ。

 アルフレッド・ノーベルは土木作業の効率化を考え、ダイナマイトを発明した。しかし、武器としてダイナマイトが活用され、多くの被害者を生み出したことに、生涯、思い悩んでいたという。野波教授がそのような悩みを抱えなくて済むように、ドローンは適切に使っていきたいものだ。道具を憎むのではなく、道具を悪用した人を憎むべきだ。

(ライター・里田実彦)

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