次のFOMCは9月の予定だ。FRBは雇用統計や消費者物価指数(CPI)といった経済指標の結果をみて、この会合で利上げをするかどうかを判断するとみられている。
日本株も、それまではなかなか動きづらい展開が続きそうだという。
物価高に関しては、日本国内の動向も気がかりだ。窪田さんは続ける。
「国内でも食料品の値上がりは続き、足元では原油価格も上がっています。円安の動きが根強いことも、物価高へのハレーション(悪影響)を高めています。7月に長短金利操作の柔軟運用を決めた日本銀行は、口先では緩和策を続ける姿勢を示していますが、物価が落ち着かないと(緩和策の正常化や利上げへの)警戒感は晴れません」
さらに、窪田さんが秋まで株価が伸び悩むとにらむ要因の一つに、半導体市場の低迷がある。
「日本企業の業績は全体的にみると確かに好調ですが、日経平均は半導体関連などハイテク株の影響を受けやすい。コロナ禍のテレワークや巣ごもり需要で伸びてきたスマートフォンやパソコン、クラウドサービスなどの需要は足元で低迷し、回復に転じるのは年末や来年初めにかけてになるとみられています」
米新興企業オープンAIが開発した対話型の人工知能(AI)「ChatGPT(チャットGPT)」を使ったサービスが広がっているものの、半導体関連企業などの業績に本格的に寄与するのは、やはり来年以降になりそうだという。
この結果、窪田さんの年末までの日経平均の予想レンジは3万3千円を中心にプラス・マイナス1500円、つまり3万1500~3万4500円。秋までは3万2千円割れの可能性が残るものの、米国の利上げ打ち止め感や日銀の緩和策継続への見方が強まれば株価は上昇し、年末にかけて3万4500円をめざす展開を予想する。
(AERA dot.編集部・池田正史)