AERA 2023年8月7日号より
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 中国の人口を抜き、14億2860万人で世界1位になったインド。人口が増えることで、需要が高まるものも多く、インド市場には高いポテンシャルがある。AERA 2023年8月7日号の記事を紹介する。

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 南アジアの国際関係とインド外交に詳しい防衛大学校の伊藤融教授は、

「インドはもともと『戦略的自律性』を掲げ、特定の国に依存しないスタンスを取ってきた国です。冷戦時代はソ連に頼らざるを得ない状況がありましたが、中国が台頭して以降は、中国に対抗する勢力として国際社会の中でひっぱりだこに。インドがどちら側につくかで、軍事・経済の両面で国際秩序が決まる。この状況がますますインドの存在感を高めています」

 と解説する。その存在感と自律性を世界に見せつけたのは、ロシアのウクライナ侵攻時。早々に中立の姿勢を鮮明にし、米国と歩調を合わせなかった。

「国益の観点からロシアとの関係を維持したとしても、米国が我々を見捨てるはずはない、という自信がインドにはある」(伊藤教授)

 すべての国と一定の距離を保ち、さらに市場が大きいインドには、ビジネス拠点としての注目も集まる。

 外務省によると、インドに進出している日系企業は増加傾向にあり、21年時点で1439社。投資額は22年4707億円で、8年前の14年2824億円と比べると大幅に伸びている。「未開の地」でのビジネスは、工場を建てる土地探しに苦戦したり、従業員とのコミュニケーションに苦労したりといった点はあるものの、ジェトロが22年12月に発表した「海外進出日系企業実態調査(アジア・オセアニア編)」によると、市場の成長性があると回答したのは在インド企業がもっとも高く、88.3%だった。

「インドの優秀な人材に対する産業界の関心が高まっている。ウィンウィンの関係になれるプロジェクトを進めていきたい」

 7月20日、ニューデリーで記者団にそう語ったのは、西村康稔経済産業相。この日、インドのバイシュナウ電子・情報技術相と半導体サプライチェーン(供給網)などに関する協力覚書に署名した。今後、より日印関係を強化し、市場に参入したい考えだという。

 神戸大学の佐藤隆広教授(現代インド経済論)は、

「人口が増えるとともに需要が増えるものは、たくさんあります。乳製品をはじめとする食品や、オムツなどの消耗品などは日本製品の素晴らしさが発揮できるでしょう。また今後、大家族から核家族へのシフトが予想され、家電にもビジネスチャンスがある。市場に非常にポテンシャルがあります」

 と評価する。(編集部・古田真梨子)

AERA 2023年8月7日号より抜粋

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古田真梨子

古田真梨子

AERA記者。朝日新聞社入社後、福島→横浜→東京社会部→週刊朝日編集部を経て現職。 途中、休職して南インド・ベンガル―ルに渡り、家族とともに3年半を過ごしました。 京都出身。中高保健体育教員免許。2児の子育て中。

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