
先ごろ文部科学省が小5と中2を対象に「情報活用能力調査」(2013年10月~2014年1月に小5、中2計約6700人を抽出)を実施したが、ネットでの情報収集力の低さ、また学校のパソコンが活用されていない実態が浮き彫りになった。特に、“ネットリテラシー”の低さが目立つ結果だった。
ブログでの誤った使い方について複数選ばせる小5の問題では、「知人の写真の無断掲載」や「住所を尋ねる書き込み」を選んだのは5割以下だった。中2に対しては、不正請求メールを受信した際、5~6割が「返信する」「入金した上で手続きする」といった間違った対応を選べなかったというのだ。
今の時代、小学生でも2人に1人が携帯を持ち、LINEについても使用方法について問題視する声が少なくない。今回は、SNSの正しい使い方を押さえておきたい。
■LINEで気を付けたい基本ルール
最近、急激に普及しているのがLINEである。便利な半面、いじめや誹謗中傷に至るケースもあり、それを苦に自殺に追い込まれるなど、社会問題にも発展しているケースもある。そうしたトラブルに巻き込まれないためにも、基本ルールを押さえておきた。
・未読を責めない
“既読無視”や“未読スルー”を発端に友人関係が崩れると、スマホを手放せない状態が問題になっている。対処法としては重要な連絡はメールなど別の手段を使うことだ。
・スタンプは気心の知れた人に使う
スタンプは、「ありがとう」などの短い言葉を1つのスタンプで伝えられるのが便利だ。だが、大切なメッセージがスタンプの乱用で埋もれてしまうこともあるので気を付けたい。特にフォーマルな関係者への乱用はご法度であることを伝えておきたい。
■最新SNS事情とトラブルへの対処法
SNSにはfacebookやtwitterなど世界中で閲覧できるものもあり、一度出回った写真や情報を消し去ることはほぼ、不可能に近いと言われている。それだけに慎重な情報開示が求められるのだが、リテラシーの低さからトラブルに陥るケースも少なくないのだ。ここで、陥りがちなトラブルとルールについて紹介しよう。
・写真のタグ付けにはひと声かける
Facebookにアップした写真に、一緒に写っている人をタグ付けをすることは多い。しかし、友人限定で公開したつもりでも、タグ付けをした人、さらにはタグ付けした人の友人にも見えてしまう。これをきっかけに男女交際がバレて、学内で大騒ぎになったというケースもあるとか。タグ付けするときは、必ずひと声かけるマナーも守りたい。
・SNSを文句のはけ口にしない
実際にあった話だが、電車内で電話をしている人を撮影し、これを中傷コメントとともに写真を公開したところ、本人から抗議があり、逆に謝罪しなければならない事件になったのだという。謝罪だけならまだしも、名誉棄損罪で訴えられ、損害賠償を求められることもあり得るので、不用意な発言は避けたいところだ。
・肖像権の侵害につながる無承諾の写真使用
無断で撮影された路上スナップをサイトに掲載されたとして提訴され、330万円の賠償を求められた事件があった。そのケースでは判決として慰謝料など35万円の支払いを被告側に命じた。また、入浴中の子どもの写真が、海外の児童ポルノサイトでアップされるなどの被害も報告されている。写真の公開には十分注意をするよう自身も気を付けるとともに、子どもたちにも教えておきたい。
・位置情報をシャットアウトしておく
カメラのGPS機能を“オン”にしたまま撮影し、その写真をSNSにアップすると、位置情報や時間が漏えいしてしまう。窃盗犯がSNSを見て旅行中であることを確認し、盗みに入ったという事件もあるので極力、位置情報はシャットアウトしておきたい。スマホで個別に設定できるので、この機会に確認することをお忘れなく。
親世代にとって、自分たちが子どもの頃にはスマホがなかっただけに、たとえ自身が使用していなくても、SNSなどの最低限のルールは知っておく必要があるだろう、子どもを守るためにも。
(ライター・中森勇人)