
「ソー活」という言葉を聞いたことがあるだろうか。電子掲示板やブログ、SNS、動画共有サイトといった、ソーシャルメディアを活用して就職活動を行うことだ。
ソー活は2011年から行われている、学生と企業がソーシャルメディアなどを通じて情報交換を図るという新しいスタイルの採用活動だ。「mixi」や「Facebook」、「Twittrer」などのSNSを使ったコミュニケーションになじんできた学生にとって、非常に親和性が高いようだ。
こうした学生や企業などが見るソー活のポータルサイトが「ソー活.com」である。2015年版の「ソー活.com 2015」では、Facebookを新卒採用活動に活用する企業として1569社がリストアップされている。
また、新卒者が就職してもすぐに離職をしてしまう最近の傾向も深刻であろう。こうしたミスマッチは、両者にとって大きな損失である。そこで、求職・求人活動のうえでも双方向的な情報交換ができる手段としても、ソーシャルメディアが注目を集めているのだ。
しかし、時代が生んだ最先端メディアは“もろ刃の剣”である。便利さゆえに大きなリスクも潜んでいる。双方向性ゆえに、相手を効率的に知ることができる半面、知られたくない情報まで知られてしまいかねない。
例えば、学生が講義を休んで遊んでいる写真を載せてしまったり、就職しようと考えている会社の批判や悪口をつい書いてしまったり……こうした不用意な仕業には、それなりのしっぺ返しがやってくる可能性がある。
プライバシー設定などで限定的にしか公開していなくても、基本的にソーシャルメディアはその特性上、「オープンな場」であると考えておかなければならない。「壁に耳あり、障子に目あり」で、誰から情報が漏れるか、わからないからだ。
また、このメディアが持つ双方向性を信頼しすぎると、それこそ“リア充演出”ではないが、企業も学生もお互い虚構の関係性を知らずに築いてしまうということにもなりかねない。
自分をよくみせようとするのは人間の性(さが)である。しかし、演出された情報で就職できたとしても、結局は“砂上の楼閣”でしかかないのだ。ぜひ、ありのままの姿をみせて、がんばってほしい。
(ライター・佐野泰人)