日本維新の会は次の衆院選で、大阪、兵庫の公明党の現職がいる六つの選挙区に候補者を擁立することを全会一致で決めた。これまで「大阪都構想」への協力の見返りに、公明党が議席を有する小選挙区への擁立を見送ってきたが、4月の統一地方選で圧勝したことなどから、6選挙区にも候補を立てるべきとの声が大きくなった。公明党はすでに6選挙区で候補者を発表しており、「維新VS公明」の構図が確定した。
維新が公明現職がいる選挙区への候補者擁立を決めたのは、6月25日に大阪市内で開いた常任役員会。
役員会後の記者会見で馬場伸幸代表は、
「これまで擁立してこなかった小選挙区について、次回からどうするか協議した。大阪維新の会代表の吉村洋文知事にも、関係する首長や地方議員にヒアリングしてもらい、とりまとめてもらった。兵庫県での協議の結果もあがってきた。いずれの中身もこの六つの小選挙区に候補者を擁立すべきであると記されていたので承認した」
と話した。
前回、2021年の衆院選では、大阪府の小選挙区は公明党が議席を有する四つの選挙区以外はすべて維新の候補が圧勝した。兵庫県でも初めて小選挙区で1議席を獲得した。
そして今年4月の統一地方選でも強さを見せた維新の内部からは、
「六つの小選挙区もガチンコで戦うべきだ」
という声が大きくなっていた。
一方、公明党では、
「今の勢いから、維新の候補者が出ればうちの勝ち目はほとんどない。一つか二つ、譲ってもらえないのか」
と“泣き”を見せた国会議員もいた。
最近、馬場代表が極秘で公明党の幹部と会ったという話も流れていた。しかし、ここでも6選挙区の維新の候補者擁立を止めることはできなかった。
「水面下で維新に働きかけをしていたのは事実。こちらからさまざまな条件を出したが、聞き入れてもらえなかった」
と公明党幹部が打ち明ける。
そうした状況を横目に、維新では早くも六つの選挙区の候補者が誰になるのか、党内で激しい争いになっているという。