新型コロナのワクチン接種をめぐっては効果とともにリスクも指摘されてきた。接種後の死亡例についてはより詳しい調査が待たれる
新型コロナのワクチン接種をめぐっては効果とともにリスクも指摘されてきた。接種後の死亡例についてはより詳しい調査が待たれる
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 新型コロナワクチン接種後の副反応に関する厚生労働省の調査結果が公表された。「40代女性」の受診が最多だった理由や、留意すべき点とは。AERA 2023年6月12日号より紹介する。

【グラフ】コロナワクチン接種後の副反応に男女の性差がみられた

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 厚生労働省が4月に公表したのは、新型コロナワクチンの副反応が疑われる事例を含む、接種後に長引く症状(後遺症)に関する調査結果だ。概要はこうだ。

 医師から寄せられた回答は2021年2月~22年5月に受診した119人分。このうち、42.9%(51人)は基礎疾患があった。受診のきっかけになった主な症状は、37度以上の発熱(28人)、疼痛(とうつう)(13人)、倦怠(けんたい)感(12人)、頭痛(11人)、関節痛(9人)など。医療機関から報告された確定病名は、予防接種副反応(54人)、アナフィラキシー(4人)など多様だった。

■欧米では性差なかった

 一方で、見逃せない特徴が浮かんだ。性差だ。

 男性34.5%(41人)に対し、女性は65.5%(78人)。中でも、40代女性(22人)の受診が最多、次いで50代女性(13人)だった。この結果について「予想通りの展開」と話すのは医療ガバナンス研究所の上昌広理事長だ。

 どういうことなのか。同研究所が22年3月に発表した、厚労省の副反応情報の分析結果と符合する面があるという。それによると、接種後1週間以内は女性の死亡率が高く、2週間以降になると男性の方が高くなっていた。なぜか。男性より女性の平均寿命が長いため、時間の経過に伴って男性の死亡者が多くなるのは必然。問題は接種間もない時期に女性の死亡率が高い要因だ。上さんは言う。

「コロナワクチンが致死的な副反応を起こすリスクがあるとすれば、男性よりも女性の頻度が高い仮説が成り立ちます」

 一方、米国や欧州のワクチンデータベース解析では、こうした性差は検出されなかった。欧米女性は一般的に日本人女性より大柄なため、体重あたりの投与量が少ないからではないか、と上さんらは推測する。

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