還付を受けるためには、健康保険の窓口(国民健康保険では市区町村の窓口)で手続きをする必要がありますが、入院の場合や同一医療機関での外来の場合は、医療機関に「限度額適用認定証」を提出しておけば、請求されるのは上限額までで済みます。いったん立て替える必要がないといったメリットがありますので、事前に健康保険の窓口で発行してもらいましょう。また、マイナンバーカードが利用できる医療機関であれば、「限度額適用認定証」がなくても限度額を超える支払いはありません。

「高額介護サービス費」は、介護保険のサービス利用料について1カ月あたりの上限額が設定されていて、上限を超えた分が払い戻されるという制度です。上限額は同じ世帯の人の収入によって異なります。例えば夫婦2人暮らしで2人とも住民税が非課税なら1カ月の上限は2万4600円。サービスを受けているのが夫だけでも、2人ともサービスを受けていても、2人(世帯)で2万4600円が上限です。夫が2万円、妻が1万円のサービスを受けていたら、5400円が払い戻されます。

 1カ月の上限を超えているかどうかは市区町村で計算して、確認をしているので、払い戻しを受けられる人にはお知らせが届きます。

 高齢になれば、夫は病気で医療費がかかり、妻は介護費がかかるということもあります。世帯単位で見ると負担が大きくなりますが、同一世帯(ひとつの世帯)に介護保険を利用している人と、医療保険を利用している人がいる場合、1年間に自己負担した合計額が一定額を超えると、超えた分が戻ってきます。これが「高額医療・高額介護合算療養費制度」で、毎年8月1日~翌年7月31日の1年間で計算されます。

 同一世帯とは、医療保険の加入制度が同じ世帯のことを言います。夫が「後期高齢者医療制度」、妻が「国民健康保険制度」に加入している場合は、別々の医療保険なので、合算はできません。

 還付を受けるためには市区町村の介護保険窓口に申請する必要があります。一般的には、市区町村の介護保険課から通知が来て、それに必要事項を記入して返信する方法が取られています。

 1年間(1月1日から12月31日)にかかった医療費が10万円(総所得金額等が200万円未満の人は総所得金額等の5%)を超えた場合、所得税が軽減される「医療費控除」が受けられます。控除を受けるためには確定申告をする必要があります。

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