問題なのは父が他界した後、母がおひとりさまになって介護状態になったとき。

 両親が健在のときは二人合わせて年金収入は月30万円程度あったとしても、母ひとりになったら10万円ぐらいになってしまったということもありえます。

 母親世代は厚生年金の加入歴がない人が多いので、年金収入は「老齢基礎年金」と「遺族厚生年金」しかない、というケースがほとんどです。お母さんは「お父さんの年金をそっくり受け取れるから大丈夫」と思い込んでいませんか? 

 両親が健在なときから、父が亡くなった後、母が受け取る年金額はどのくらいなのか、確認しておきましょう。

■知っておきたい、お金の負担が軽減される3つの制度

 介護にあたって知っておきたい制度は3つあります。

「高額療養費」「高額介護サービス費」「高額医療・高額介護合算療養費制度」です。「高額療養費」とは、医療費がたくさんかかった場合、一定額を超えた分が健康保険から還付される制度です。例えば、70歳以上・年収370万円未満の人は外来では1万8000円(年間上限14.4万円)、入院では5万7600円が1カ月の負担の上限で、医療機関の窓口でそれを超える額を支払った場合、超えた分が還付されます。食事代や差額ベッド代などは自己負担になります。

 例えば、入院をして手術を受けたとします。医療費が100万円かかっても、高齢者医療の場合は保険者が計算して還付してくれます。医療費は1カ月の上限額5万7600円(一般の場合)の範囲内で済むのです。

 1カ月は各月の1日から末日までを指します。8月21日に入院して9月20日に退院するなど、月をまたぐ場合は、8月、9月、それぞれ上限額を負担することになりますが、それでも医療費をかなり抑えることができます。

「高額療養費」は高齢者だけでなく、健康保険に加入している人なら誰でも利用できます。65歳未満の人は高齢者とは自己負担額の上限が異なります。

次のページ
高額介護サービス費の活用を