michitomoさん
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アイドルが来て歌うたび、michitomoスタジオのブースの壁は書き込みで埋め尽くされてゆく
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「アップアップガールズ(仮)1st全国ツアー アプガ第二章(仮)進軍~中野サンプラザ 超決戦~」
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チーム・負けん気「無限、Fly High!!」(通常盤)
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チーム・負けん気「無限、Fly High!!」(通常盤)
アップアップガールズ(仮)《Beautiful Dreamer/全力!Pump Up!! -ULTRA Mix-/イタダキを目指せ!》(通常盤)11月4日発売
アップアップガールズ(仮)《Beautiful Dreamer/全力!Pump Up!! -ULTRA Mix-/イタダキを目指せ!》(通常盤)11月4日発売

――僕がアプガのライヴに通い始めた頃は、《イチバンガールズ!》がオープニングだったことが多かった気がします。自己紹介のような歌で。

michitomo 当時アプガのメンバーが自分たちのキャッチフレーズを書いたTシャツを売ることになって、佐藤が「汗は武器」とか古川が「暑苦しいくらいが丁度いい」とか書いていたので、それに単純にインスパイアされて、歌詞に反映させたんです。マネージャーさんと打ち合わせしていた時に、エモっぽいメロコアみたいなものをやりたいという話をしてたから、その曲調にメンバーのパーソナルな部分を描いた歌詞を流し込んだ。《Going my ↑》よりもうちょっと明確に進みだして、もっと上に上にという目標をしっかりイメージできる歌ということで、「一番になるんだ」という決意をこめました。

――ベースの弦が緩んだイントロから、音圧がすごいです。

michitomo あれ、全部打ち込みなんです。よく「生ベース」ですよねって聞かれるんですけど、今は弦のビビりも打ち込みで出るんですよ。ただ、ギターはさすがに生っぽさが出ない。そこだけは自分で弾いたり、弾いてもらったりしています。僕はバンド少年だったから、打ち込みでもしっかり生っぽさを出していきたい。そこは譲れない部分ですね。歌はひとりずつ別々に録って最終的にミックスしています。アプガは最初、7人全員でぞろぞろ来ましたが、今はみんな忙しいんで来れるタイミングで来てもらってますね。(スタジオ内のブースの壁を指さして)ここがスタートなんですよ、2012年3月2日に《Going my ↑》を録音して、翌日が《お願い魅惑のターゲット》。《Rainbow》を4月7日に録って、そのあとが4月10日の《バレバレ I LOVE YOU》。

――それがまず、『(仮)CD』というCDRとして現場で売られたわけですね。そこに入っている音とプレスCDとの音は、ミキシングからリヴァーブの量から、いろいろ違います。たとえば《バレバレI LOVE YOU》の通称“バレチュー”のところとか……

michitomo 『(仮)CD』は僕が自分でミックスしていて、歌が超でかい(笑)。それが焼かれて売られている間に、製品版のミックスをエンジニアさんと共に進めていました。

――『(仮)CD』はメンバーみずから梱包して、生写真もついてきました。

michitomo 7人で梱包、やってましたよね。配信してましたからね(配信時のタイトルは「セットアップガールズ(仮)CD 5月3日発売」)。

――歌って踊って梱包までやって、すごいです。あと、こんなにリミックスものをガンガンやるアイドルもいないんじゃないか、と思います。11月4日発売のトリプルA面シングルに入っている《全力!Pump Up!! -ULTRA Mix-》も、元歌の《全力!Pump Up!!》をさらにエクストリームにした感じになっていて。

michitomo エクストリームにするしかなかったんです(笑)。「全力」のオリジナル・ヴァージョンはオケ的にはあんまりメロディーや音色をガツガツ入れる感じにしなかったんで、そういう意味ではやりやすかったですけど。『ファーストアルバム(仮)』用に、《UPPER ROCK》のリミックスを依頼された時は悩みました。けっこう僕の中では、オリジナル・ヴァージョンでやりきった感があったんです。だからどうしようって。

――《全力!Pump Up!!》は、オリジナル・ヴァージョンでもリミックスでも匹田大智さんの三味線が生かされています。あの響きはたまらないですよ。

michitomo 曲ができた当初、三味線はなかったんです。「これじゃただのEDMになっちゃうから、違った感じを出そう」というマネージャーの提案で、後から三味線を入れました。

――そこで三味線という発想が出ることに驚きます。マネージャーさん、狂ってますね……。

michitomo ……なかなかですよ(笑)

*  *  *

michitomo 僕にとってハローさんはアイドルの最高峰なんですよ。ちゃんとしたきれいな建物の中にあるフレンチ・レストラン。料理も皿も素晴らしくて、盛り付けも丁寧で、いい素材にいいソースをかけて。イントロからアウトロまでが一つの素晴らしいフルコースとしてパッケージされている。だけどアプガは違う。振り付けの竹中(夏海)先生が以前「まかない料理」に例えてたけど、言いえて妙だなと思って。

――盛り付けも味付けも荒けずりなところがあるけど、他の誰とも替わりの利かないうまみがある。

michitomo 高級レストランを追い出されて、それでも負けずに飯屋をやっていきたいんだという情熱とがんばりでゴチャ混ぜの料理を作っていたら、それをおいしいといって食べてくれるひとが増えてきた。そして今、徐々にコースの出し方もわかってきて、ビストロ・アプガとしてやっと一本立ちできるようになった。それまではとりあえず一生懸命、料理を手作りしていたわけです。ひたすら、がむしゃらに。

――《なめんな!アシガールズ》とか、聴くごとに震えるほど感動します。「今の私たちは足軽だけど、志は武将以上」って歌っている。「アプガが足軽なら俺は足軽のずっとずっと下だ、もっともっとエネルギッシュに、熱く真っ直ぐ生きてえ」って、僕は自分の娘のような年代のアイドルにカツを入れられているわけです。

michitomo 歌がうまいだけで元気が与えられるわけでもないし、ダンスがうまい人もゴマンといるけれど、アイドルってそれを超越して勇気と元気を与えられる存在だと思うんです。アイドルの持つ力、それをそのまんまパッケージして出したいよな、というのが『アップアップガールズ(仮) 1st 全国ツアー アプガ第二章(仮)進軍 ~中野サンプラザ 超決戦~』のミキシングにもつながるわけです。あれを見たらなんとなくでも伝わると思うんですよね、彼女たちの気迫が。すごくきれいに歌を修正したライヴ映像に慣れてしまった人が見たら、「なんかこのグル―プ、音のずれたところがあるね」という感想を持つかもしれない。けどそう思ってもらえるのはある意味、成功なんですよ。「それが生(なま)ってもんなんだよ、一生懸命やってんじゃん。そこなんだよ、アイドルの素晴らしさって!」と声を大にして言いたいですね。[次回1/19(月)更新予定]