ブルーノート・レーベル紹介の2回目は、オリジナル盤カタログ番号4001番から始まるブルーノート4000番台です。4000番台は大きく分けて3つの流れから成っています。まず1960年代ジャズ・シーンの中核を成したブルーノート新主流派と、方向としてその延長線上とも言っていいフリー・ジャズ。
モード・ジャズを主体とした60年代新主流派は、時代的には50年代後半にすでに登場していたフリー・ジャズより後に出現することになるのですが、共にジャズに新しい風を吹き込もうとした点では同じ方向を目指していたと言えるでしょう。
代表的なアルバムは何と言ってもハービー・ハンコックの『処女航海』ですね。ロン・カーター、トニー・ウィリアムスをサイドに従えたこのグループは、マイルス抜きのマイルス・クインテットなどとも言われ、現代ジャズの源流と言ってもいい。
ハンコックと共に現在も第一線で活躍しているウェイン・ショーターの諸作も外せません。リー・モーガンをサイドマンに起用した『ナイト・ドリーマー』はじめ、『アダムス・アップル』など、60年代のジャズ喫茶ではひんぱんにかかっていました。
地味ながら新主流派らしいミュージシャンの代表とも言えるジョー・ヘンダーソンもジャズ喫茶の常連。その名も『モード・フォー・ジョー』はいかにも60年代的。そして、彼が参加しただけで音楽に斬新な風が流れこんだボビー・ハッチャーソンのヴァイヴ・サウンドも、新主流派サウンドの象徴。代表作は、ハンコックの《処女航海》の名演で知られた『ハプニングス』でしょう。曲想の特徴を生かしているのはむしろこちらのヴァージョンかも……。
フリー・ジャズでも名作が目白押し。第一に挙げるべきはオーネット・コールマンの『ゴールデン・サークルVol.1』。そしてフリー・ジャズのもう一方の旗手、セシル・テイラーの『コンキスタドール』も彼の代表作に挙げられる名演です。
フリー・ジャズではありませんが、エリック・ドルフィーがブルーノートに吹き込んだ唯一の作品『アウト・トゥ・ランチ』は、フレディ・ハバードやボビー・ハッチャーソンといったブルーノート新主流派の面々をサイドに従えた傑作です。
そして4000番台のもう一つの顔に、フリー・ジャズとは正反対とも言える大衆的なファンキー路線やジャズ・ロックがあります。代表的なのはホレス・シルヴァーの『ドゥーイン・ザ・シング』で、そのファンキーな演奏は今聴いても刺激的です。ジャズ・ロックは典型的和製英語で、現在の感覚では別にロック風でも無いのですが、8ビートが珍しかった時代ならではの名称でしょう。こちらの代表は何と言ってもリー・モーガンの『サイドワインダー』。ジャズ喫茶におけるリクエストの嵐は今でも忘れられません。
3番目に、ある意味でもっともジャズ喫茶的とも言える路線がハードバップです。これは本当に良く出来たアルバムが多く、また、ブルーノートの特徴を好く現した作品が多い。こちらの紹介は次回のお楽しみ。[次回12/22(月)更新予定]