


2015年4月に開校する通信制高校が話題となっている。
今回、新入学希望者の募集を開始した「明聖サイバー学習国」は、日本初のアバターで通えるという高校。インターネット上の仮想空間に作られたこの高校は、自分の分身(アバター)を操作しながら授業を受けたり、クラスメイトと交流したりと、一見ゲームのような画面でキャンパスライフがおくれるバーチャルハイスクールとなっている。
入学した生徒たちが最初にすることは「アバター作り」。顔の形から髪の毛の色などを自由に組み合わせられる200以上のアバター・パーツが用意されていて、まずは仮想の自分作り(キャラを固めること)から高校生活がスタートするというわけだ。
アバターが使う洋服やアクセサリーも、かぶり物から浴衣、スーツまで多種多様。その日の気分に合わせたスタイルに変身し、「これって高校生?」と思えるような奇抜なファッションで授業を受けることもできる。現実の自分とは全く違う「もう1人の自分」を作って、そのキャラクターで3年間の高校生活を過ごすことだって可能なのだ。
授業は、1コマ約20分の動画で配信され、スマホやタブレット、パソコンからアクセスすれば、いつでもどこでも授業が受けられる。仕事を持っている人やスポーツに時間を割きたい人、海外留学をしたい人などそれぞれの生活スタイルに合わせて学習が進められるのが特徴だ。同高校によると、授業時間が短い分、飽きることなく、また、配信される動画を何度でも見直すことでより理解を深められるのだという。ゲーム感覚で回答できるミニテストを定期的に配信するなど、楽しみながら学力を伸ばす工夫も行っていくという。
他にも学習意欲を継続させるための工夫として「MSポイント」というものがある。動画の閲覧やレポート提出、ミニテストなど学習を進めるごとにポイントがどんどん貯まる仕組みで、貯まったポイントはアバター用のアイテムと交換できるようになっている。
また、釣りや農作業を楽しんだり、クラスメイトとチャットでおしゃべりしたりなど、画面上で放課後ライフも満喫できるなど、至れり尽くせりだ。中にはアバター同士で恋が芽生える……なんてこともあるかも。
「明聖サイバー学習国」を運営する学校法人花沢学園 明聖高等学校は、千葉県初の私立通信制高校として2000年に開校し、卒業生は約4000人、卒業率は98.1%を誇っている。今回開校するのは、まるでゲーム画面のようなバーチャルハイスクールだが、教育内容は学校教育法に沿った通信制高校であり従来の通信制高校と同様に3年間で「高校卒業資格」の取得が可能。実際に登校するスクーリングも年に4日設定されており、現実世界でクラスメイトに会う機会が全く無いわけではない。
開校初年度となる2015年は、文部科学省による「高等学校就学支援制度」と明聖高等学校独自の「開設初年度特別減免」を利用すれば、実質授業料が無料になるというのもポイントだ。アバターや仮想世界には興味がないという人でも、経済的負担が少ないという点から進路の一つとして選ばれる可能性もあるだろう。
「飽きずに学べる、楽しく通える」と謳っている「明聖サイバー学習王国」の予定募集人数は300人。現在、インターネットを活用した新しい通信制高校として特許を出願しているとのことだ。ITの普及に伴い個人の生活スタイルがどんどん多様化している流れの中、こんな風に通学スタイルも変わっていくのかもしれない。日本初となるこのバーチャルハイスクールには、どのような生徒達が通い、どのような学校に進化していくのか気になるところだ。