日本国内で2200万人超が利用しているといわれるSNS(ソーシャル・ネットワーキング・サービス)のFacebook。便利に利用している人も多いが、実名でのアカウント登録しか認められないため、ふとした発言などがきっかけで非難されてページが炎上するなど、もめ事が起こることもある。そんなトラブルを回避しつつ、実名の個人同士がつながるというFacebookの長所を生かした「オンラインサロン」が話題となっている。
「オンラインサロン」とは、フェイスブック上で作成された非公開の会員限定有料コミュニティのことだ。コミュニティを拠点に、主宰者と会員が双方向でやり取りすることが出来る。
サロンの開設や会員募集、会費納入といった様々な手続きを代行するウェブサイト「Synapse」を、2012年から運営している株式会社モバキッズ(東京都品川区)によると、最近になってサロンの開設やメンバーの申し込みが活発化しているという。
「Synapse」では、2014年7月28日、元ライブドア社長で起業家の堀江貴文氏のサロンのメンバーを募集したところ、月額1万800円という高額な会費にもかかわらず、一晩で定員の400人に達した。続いてマーケティングなどを行うトレンダーズ株式会社創業者で実業家の経沢香保子氏と、同社社員でブロガー、作家の伊藤春香(はあちゅう)氏が、8月1日に共同で開設した月額8900円のサロン「ちゅうつねカレッジ」も、1週間で定員の450人が埋まったのだという。いずれのサロンも、わずか数日のうちに、単純計算で毎月400万円以上の固定売上を達成したことになる。
なぜ上記のような、高額な会費のオンラインサロンが人気なのか。二つのサロンに共通するのは、「ビジネスで実績のある著名人と、インターネットを介して、リアルタイムで情報交換や交流が出来る」ということだ。例えば、堀江氏のサロンの会員になると、オンラインでは堀江氏の投稿や生放送の閲覧、少人数ビデオチャット、オフラインでは、月1回の定例講義や不定期開催のオフ会や勉強会、年2回の合宿勉強会への参加が可能となる。堀江氏から直接ビジネスのノウハウや知識が吸収出来るし、同様の目的や志を持つ会員とのコミュニケーションも図れるだろう。
「Synapse」は、モバキッズの田村健太郎社長が、友人のブロガーが「(インターネット上での)炎上を恐れて自由にものが言えない」とこぼしたことから、「有料制で、著名人とファンが気軽に交流出来るオンラインサロンはニーズがあるのではないか」と考えたのが始まりだという。
現在開設されている約20のサロンでは、月額1000円前後の会費で、起業家が主催するものが多い。会員約730人という大所帯のサロンもある。田村社長は「今後も徐々にサロンを増やし、最終的には3、4年で約5000件まで増やせれば」と今後の抱負をを語った。
主宰者側は、ターゲットを絞って収入を増やせる、参加者側は、どこにいても主宰者の生の声や活動について知ることが出来、お互いに自由な意見交換も望めるなど、非公開のインターネットコミュニティの長所を生かし、かなりの盛り上がりを見せているオンラインサロン。著名人が開くサロンが増えていけば、ブームが到来する可能性は十分にありそうだ。今後、どこまで広がりを見せるのか、動向が注目される。