2018年の米チャートを賑わせたヒット曲や話題曲の中には、今年の米音楽界におけるトレンドや、社会の動きが歌詞に凝縮されているものがいくつも見られた。
今年も残り少なくなるなか、米ビルボードがこれらの楽曲を起点に、米国における2018年の音楽事情/社会情勢を振り返っている。本日は、ジャネール・モネイが、今年4月にリリースしたニュー・アルバム『ダーティー・コンピューター』に収録されている「メイク・ミー・フィール」をピックアップする。
「Baby, don’t make me spell it out for you/All of the feelings that I've got for you/Can't be explained, but I can try for you」(ベイビー、私の口から全部言わせないでよ/私が感じてるあなたへの想いのすべては/説明できないけど、あなたのためならやってみてもいいよ)
2018年になってまもなく、ヘイリー・キヨコが新年を“#20GAYTEEN”(トゥエンティ・ゲイ・ティーン、“2018年”の読み方の一つ“トゥエンティ・エイティーン”から)と命名し、「われわれの年、われわれの時代になった」とツイートした。メインストリーム音楽における“クィア・ヴィジビリティ”(性的マイノリティの認知度)を格段に上げた数々のLGBTQアーティストによるリリースが2018年に多く予定されていたためだが、この時点では彼女も予想していなかったであろうハイライトもあった。
ジャネール・モネイが、ニュー・アルバム『ダーティー・コンピューター』をリリースする前日、米ローリング・ストーン誌とのインタビューで自身が“パンセクシャル”(汎性欲主義者)であるとカミングアウトした。彼女は「メイク・ミー・フィール」や「Q.U.E.E.N.」などの楽曲でほのめかしていたものの、はっきりと認めたのはこれが初めてだった。反響は大きく、“パンセクシャル”の検索数が一気に跳ね上がった。
2018年にはジェイソン・ムラーズやビービー・レクサなど、モネイ以外にもLGBTQであることをカミングアウトしたアーティストが多数いたほか、LGBTQアーティストによるハイ・クオリティな作品が多数リリースされた。また、リタ・オラの「ガールズ」を巡る賛否の応酬などからは、米ポップ・カルチャーにおける性的マイノリティの声が無視できないほど大きくなっていることがうかがえる年だったと言える。
◎「Make Me Feel」MV
https://youtu.be/tGRzz0oqgUE