ポール・マッカートニーの最新ツアーの一環として、4月25日よりおこなわれていた【ワン・オン・ワン・ジャパン・ツアー2017】が4月30日、東京ドーム公演をもってフィナーレを迎えた。
一夜限りの日本武道館公演、そして2日間の東京ドーム公演を大盛況に終え、迎えた最終日。この日もやはりビートルズの「A Hard Day's Night」でショーは幕を開けた。前回同様、ポールのMC時にはサイドのモニターに同時通訳が映し出されるスタイルだが、積極的に日本語を話そうとしてくれるポールの心意気が嬉しい。今回も「コンバンハ!」「サイコー!」などはもちろん「ゴールデンウィーク」「トーキョードーム」さらには「ビートルズ」まで、きっちり日本風のカタカナ発音で披露してくれたポール。さらに、今回の来日ツアーで日本のファンへのサプライズとなったのが、ポール自ら「ニホンハツコウカイ」と紹介した「I Wanna Be Your Man」のソロ・パフォーマンスだ。同曲は1963年にレノン&マッカートニーがローリング・ストーンズに提供したナンバーで、ビートルズにおいてはリンゴがリード・ボーカルを担当したライブの定番曲。1966年の日本武道館公演で披露されたこともあり、ポールはこの曲を日本のファンへの“プレゼント”に選んでくれたのだろうか。また、ビートルズにとって初のレコーディング曲だと語り、前身クオリーメン時代の楽曲「In Spite Of All The Danger」披露も、今回のツアーのひとつの目玉となった。
ビートルズ、ウイングス時代のヒット・シングルはもちろん「Blackbird」の弾き語り、ジョンとジョージのトリビュート、最新アルバム『NEW』からの楽曲披露など、基本的には前回の来日ツアー【アウト・ゼア・ジャパン・ツアー2015】を踏襲した構成となったが、そこに新入りを果たしたのが、2015年に音楽シーンの話題をさらったリアーナ、カニエ・ウェストとの異例のコラボ曲「FourFiveSeconds」だ。これをポールの歌声で聴けるのは非常に貴重であり、最新ツアーならでは。そして、ショー終盤にはお約束のステージ大爆発「Live and Let Die」、そして本編のフィナーレには、観客のサイリウムが一斉に揺らめき「ヘイ・ジュード」の大合唱、アンコールは「Golden Slumbers」~「Carry That Weight」~「The End」のアビイ・ロードB面メドレーという近年おなじみの展開で締めくくられた。
前回の来日公演時より、ポールとオーディエンスとの一体感が何倍にも増しているように感じたのは、公演最終日だからか、あるいはここ数年の間に何度かポールを体験しているオーディエンスが増えたからか。老若男女、誰もがみなリラックスして、自由にショーを楽しんでいるように見えた。そして、もちろん今回も盤石のバンド陣を従え、一切衰えのないパワフル&チャーミングなステージを披露してくれたポール。アンコールの際、ドームの屋根に大きく映し出された「ARIGATO PAUL」「PLEASE COME BACK!!」は、そこにいた5万人の総意であることは言うまでもない。ポールもまた「マタアイマショウ!」という最高の言葉をファンに残し、紙吹雪の舞うステージを去っていった。
◎公演情報【ポール・マッカートニー ワン・オン・ワン ジャパン・ツアー2017】
4月25日(火)日本武道館
4月27日(木)、29日(土・祝)、30日(日)東京ドーム
写真は、4月27日公演。(C)堀田芳香