撮影/原田和典
撮影/原田和典
ホラーサスペンス映画『讐 ~ADA~』ブルーレイ&DVD
ホラーサスペンス映画『讐 ~ADA~』ブルーレイ&DVD

 10月1日、新たな殿堂がオープンした。名前を「AKIBAカルチャーズ劇場」という。アップアップガールズ(仮)はオープニング・レセプションに登場し、ミニライヴで鮮やかな初陣を飾った。

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 同シアターは“日本を代表するポップカルチャーの発信地”という触れ込みでスタートした。いわゆるアイドルに限定せず、ボカロや声優やお笑いなど幅広いブッキングを目指しているという。誰を第1弾にすべきか、スタッフも相当、考えに考えたことだろう。それとも、「問答無用、アプガだ!」と、一瞬で決まったのか。たしかにアプガは、景気づけにもってこいだ。パワフルで明るく楽しく、その場を空気ごと100%にぎやかにしてしまうステージは、とにかく熱く、めでたい。アプガの出演はこの劇場にとって、家が新築されたときに行なわれる「投げ(餅まき)」、もしくは「竣工式」に相当する慶事だったはずである。10月5日には、「アプガ第二章(仮)開戦ツアー アフター公演Vol.1~3」と題する3回公演も同所で行なわれた。「アフター」という言葉は、このライヴが8月から9月にかけて全国各地で催されたツアー「アプガ第二章(仮)開戦前夜」と「アプガ第二章(仮)開戦」、全11箇所12公演に続くものであることに因む。

 劇場なので基本的に着席制だ(立ち見エリアは後方左右に設置されている)。もちろん声援を送ったりサイリウムを振るのはいつも通りOKである。300名近く収容できるそうだが、自分で前後左右動き回って確認したところでは、どのエリアも見やすい。音響も照明も、とてもよく考えられているように思えた。ぼくは、これまでアプガのライヴを座って見たことが殆どなかった。だが、椅子に腰掛けてステージに集中するのもいいものだ。一段と新鮮な気分になれるし、いろんなことが改めてわかってくる。アプガ7人の歌やダンスが実に丁寧に考えられた、とんでもなく美しいアンサンブルによって仕上がっていること。しかもそれがたまらなくワイルドでもあり、どこかせっぱつまっているところすらあること。アプガの奥深さに、またしても脱帽だ。

 「アフター公演」の前日にあたる10月4日には、これまたお宝級のイベントがあった。ホラーサスペンス映画『讐 ~ADA~』(あだ)のブルーレイ&DVD発売記念トークショー+ミニライヴがタワーレコード渋谷店B1F「CUTUP STUDIO」で行われたのだ。映画の主演はアプガの仙石みなみと佐藤綾乃。しかしイベントにはアプガが総出で登場した。ミニライヴでは主題歌《Hereafter》、《Bad Blood》をファンの前で初披露。CDはアプガの他にバニラビーンズ、lyrical school(mei)、キャラメル☆リボンらも含む「T-Palette mini All Stars」による歌唱だったのに、この日はアプガ7人がすべてをこなす。まさかこの曲を「アプガで」聴けるとは思えなかったので、ぼくはこの日この場所にいることのできた幸運にふるえるしかなかった。もちろん歌も振り付けもビシッと決まって、たまらない爽快感を与えてくれたことはいうまでもない。2曲とも今回限りの公開と伝え聞いたが、何しろファンを快く裏切ることには定評のあるアプガであるから、いつどこかでひょっこり再演してくれるかもしれず、だからアプガのライヴは這いつくばってでも行くべきなのだ。

 10月6日は原宿全域を巻き込んだ一大無料イベント「HARAJUKU KAWAII!! FES 2013」に登場した。アプガはクエストホールの「IDOL STAGE」で吉川友、PASSPO☆、PPP! PiXiONと舞台をわけあった。登場はいちばん先だ。サッと出てきてワッとやってガッと盛りあげてスッと去る、それができるのはひとつの才能だ。

 そして今、オープニングに最もふさわしいのはアプガ。アプガだ。アプガである。

 アプガが出ると空気が一気に熱くなり、場内がピースフルな雰囲気になるので、次の出演者も本領を発揮しやすい、というわけだ。この日もとにかくアプガのパフォーマンスは圧倒的だった。客席では、メンバーと同世代と思われる女性たちの姿がやけに目に入った。ひょっとしたら彼女たちにとって「アプガ」、「アイドル」は初めて接する領域かもしれない。アプガの客層は基本的に男性ファンが主流だし、中には、もうしわけないがぼくのようなオッサンだっている。だが、この日集まった女性オーディエンスの心に、アプガの全身全霊パフォーマンスは間違いなく刺さった、と個人的には確信している。それはなぜか? 人間、あそこまで剥き出しに燃え上がることができるのだ、ということを態度で示すからである。

 翌日、ぼくは高島町に急いだ。「横浜BLITZ THE FINAL THE ポッシボー×アップアップガールズ(仮)『聖地 横浜BLITZ』」を見に行くためだ。8月31日に横ブリを超満員にしたばかりのアプガだが、同所は10月14日に閉鎖されてしまったから、この対ポッシ戦こそ、正真正銘“最後の横ブリ”である。ポッシとアプガがどんな関係にあるのか、両グループにとって横浜BLITZがどんな意味を持つのかは各自お調べいただきたい。恒例の対バン公演も今年で3年目。ステージはポッシ→アプガ→共演の順に行なわれ、最後の最後には両者と深いつながりを持つ吉川友も友情出演した。

 13日には赤坂BLITZで「HOT WAVE 推し事祭 2013」を見た。テレビ番組の公開収録である。昼の部はトーク、夜の部はライヴで、対バンは9nineとでんぱ組.inc。この3者は、5月に香港で行なわれたKawaii Pop Fest.にも参加しているが、そのときは9nineの帰る日にアプガがやってきたので顔を合わせていないはずだ。アプガはここでもライヴのオープニングに登場し、場内を盛り上げに盛り上げた。8月の横浜BLITZ公演以来、左足首靭帯部分断裂という、字面を見ただけでも痛みが伝わるようなアクシデントに見舞われていた関根梓も、バリバリ元気に踊って復調を印象づけた。[次回11/6(水)更新予定]