最近、年下の男の子と不倫をする人妻が増えている。私の周りにも何人もいる。ここ2~3年で一気に増えた気がしてならない。

なぜ年下の男性と不倫をするのか、理由をずっと考えていた。ご主人より若くて"元気がある"からなのかしら、と推測していたのだけれど、どうもそんな簡単な理由だけではなさそうだ。

まず、ひとつ目に、周囲の羨望(せんぼう)の眼差しという快感がある。私の周りでも「今度の彼は二十歳のくせにすごく嫉妬(しっと)深くて困っちゃう」などとノロケを語る奥さんがいる。そして聞いている私たちは、なんて楽しそうなんだろう、と羨(うらや)ましく思ってしまうのだ。

そしてふたつ目は、自分の思い通りに相手を動かせるという快感である。年下の男は財力もなければ良い店も知らない。だからこそ女性が金を払い、エスコートする。男性はお金を出してもらっているゆえに、ダンナのように文句も言わず、黙って付き添ってくれる。

近頃の奥様がたには仕事をしている人も多く、多少のお金なら自由になる。そしてネットという気軽な出会いの場も用意されている。これまでは近所のカフェの店員のお兄さんを(可愛いわねえ)と眺めているだけしかできなかったのが、今では、ネットで出会った若い男とお手手つないでデートも簡単にできてしまう時代なのだ。それには危険がつきまとってはいるのだけれど。

不倫をしている奥さんの中には、あまりにも抵抗感がない人がいる。知らない若い男と待ち合わせをするなんて、普通なら怖くてできない。けれど、彼女らはいともあっさりとそのハードルを越える。

先日、浮気中の奥さんとお茶をしている時、その大胆さの原因がどこにあったのか初めて知った。実は、彼女のご主人のほうが先に浮気をしていたのだ。
「あの人がしたんだから、私だってしてやるわ」
という哀しい意地がきっかけで、彼女は若い男と関係を持った。つまりはご主人が浮気さえしなければ彼女も浮気をしなかったということだ。

応じる若い男達の道徳観もこれまた薄い。男が未婚の場合、彼のほうが本気になるケースもあるという。

怖い時代になってきたなあと思いつつ、私はとあることに気づいた。私自身、彼女達を止めたり厳しく注意することもしていない。悩みが渦巻く彼女達の心中を思うと、やめろとは言えないのだ。私もまた怖い女なのだ、と胸の奥がチクリと傷んだ。