江島健太郎さん。香川県生まれ。大学卒業後、日本オラクルなどを経て渡米。現在は、大手知識共有プラットフォームの日本人第1号社員兼エバンジェリスト
江島健太郎さん。香川県生まれ。大学卒業後、日本オラクルなどを経て渡米。現在は、大手知識共有プラットフォームの日本人第1号社員兼エバンジェリスト
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 東京都内に定住拠点を持ちつつ、月の半分は定額住み放題サービスを利用してホッピングを楽しんでいるという人もいる。アメリカに本社を置く大手知識共有プラットフォーム「Quora(クオーラ)」社の日本第1号社員となり、エバンジェリストとして活動する江島健太郎さんだ。

【写真】随所にこだわりが詰まった逗子A邸

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 江島さんに取材するために訪ねたのは、漁師町の風情が残る逗子市小坪にたたずむ逗子A邸。

「実は僕もここに滞在するのは、今日が初めてなんです」

 と笑顔で出迎えてくれた江島さんは、実にフラットでフレンドリー。しかし、実は国内外でも知られたソフトウエアエンジニア。長年アメリカで働き、地位を築いてきた人だ。個人的な事情で数年前に帰国し、実家のある香川県で起業を模索していた直後、Quora社から声がかかり上京。社員は1人だけで仕事はどこにいてもできるため、ADDressサービスの利用を決意した。とはいえ、こうした生活に昔からなじんでいたわけではなく、あるきっかけが江島さんを後押ししたという。

「実は数年前、身近な人の死に遭遇し、かなり落ち込んでいたとき、お寺の住職からお遍路に行くことを勧められたんです。香川県出身ですが、それまでお遍路など興味はなく、半信半疑で行ってみました。不思議なもので、気がついたら一緒になった見ず知らずの人に、自分の身の上話をしていたんです。しかも話してみると、なんだか心が晴れやかになっていく。そのとき、“ああ、人と話をしながら旅をすることって、こんなにも自分の癒やしになるんだ”と気づいたんです」

 その後、1年ほどニューヨークに戻ったときも、生まれて初めてルームシェアをして、違う価値観の人と暮らすことの新鮮さを肌で感じた江島さん。帰国後、同じような体験を日本でもしたいと感じ、いきついたのがADDressだった、というわけだ。

 数年前に断捨離をして、持ち物は段ボール2個とスーツケース1個にまで削減した。

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アドレスホッピングを楽しむテクニック