政界ばかりではない。大学も“美女軍団”の標的になっているという。ジャーナリストの鈴木エイト氏はこう語る。
「東大の学生を旧統一教会に引き込むためにキャンパスに“美女”を送って、仕込んだという話は元信者から実際に聞きました。東大の旧統一教会系の学習サークルに容姿がきれいな女性信者を使って誘い、頭がよくて優秀な学生をスカウトする。そうやって優秀な人材を弁護士に育てたりして、教団の“頭脳”として囲い込む事例もありました」
大臣経験のある自民党衆院議員(中曽根派)の元秘書はこう話す。
「うちの事務所には、いつの間にか『世界日報』が毎日届けられていました。事務所で購読していたわけではないのに、ずっと入っていた。ほかの議員の事務所にも『世界日報』が入っていましたよ。そして、選挙になると、頼んでもいないのに旧統一教会系の団体の見たこともない人たちが応援に来ていました。黙々と選挙の支援をしてくれていたが、誰に聞いても、どこから来たのかよくわからなかったんですよね」
元東京タイムズ政治部長で、政治評論家の本澤二郎氏もこんなことがあったと明かす。
「岸信介元首相と親しい元大臣のところに知り合いの女性秘書がいたんですが、ある日、『今度、うちの事務所に入った運転手は勝共連合なのよ』と私にそっと耳打ちしてきたんです。その運転手は男性でした。統一教会は70年代にまず岸氏の周辺にいる議員から入り込もうとしていたのではないか。それから清和会に浸透し、じわじわと自民党全体に広がっていったのだと思います」
勝共連合のスタッフが国会議員事務所にやすやすと入り込めた背景について、元自民党政調会調査役で政治評論家の田村重信氏はこう指摘する。
「政治家は、誰であろうが選挙で応援してくれる人はありがたいのです。昔は、ヤクザだって断らない議員もいたくらい。支援者が1人減って、その1票が相手陣営に入ったら、2票マイナスです。応援を断ったら敵を利するだけですし、組織票は必要だからみんな必死ですよ。それゆえ、どこの宗教団体だって全部ウエルカムになってしまう。票をもらわないと当選できない政治家の切迫感は想像以上なのです」