大阪府高槻市の住宅で昨年7月、会社員高井直子さん(当時54)の遺体が浴槽で発見され、直子さんの養子となっていた川崎市高津区の無職、高井凜容疑者(28)が殺人容疑で逮捕された事件。高井容疑者は直子さんの養子となった後に、直子さんに計約1億5千万円の生命保険に加入させ、自らを受取人としていたことから大阪府警の捜査が始まっていた。
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真面目な直子さんが突然、会社の無断欠勤が続いたことから、同僚らが心配して住宅を訪れた際、遺体で発見された。
捜査関係者によると、死後数日経過しており、遺体の腐乱が進み、死因特定が困難だった。部屋の居間には、現金70万円が入った封筒がそのまま置かれ、テレビや電気もつけっぱなしの状態だったことなどから、府警は当初、事件事故の両面から捜査をしていた。
ただ、直子さんの右手首は結束バンドで固定されていたことや、浴槽に溺れさせられていた様子がみられた。そして高井容疑者が、自らが受取人となっていた生命保険金を請求したことなどから事件の可能性が高いとして捜査が本格化した。
府警は今年7月、偽造した養子縁組の書類を高槻市役所に提出したとして、有印私文書偽造・同行使容疑で高井容疑者を逮捕した。捜査関係者がこう話す。
「捜査の中で、生命保険金の受取人が当初は直子さんの母親だったのが、昨年5月ごろ、無断で高井容疑者に変更され、勤務先の生命保険会社を退職。さらに、高井容疑者は直子さんの死後、養子縁組を解消しようと家庭裁判所に申し立てをしていたこともわかった。高井容疑者が、直子さんの遺産を独り占めしようという工作を図っていたんだろうと」
捜査関係者によると、今回の殺人容疑の捜査では、直子さんが亡くなる直前に、高井容疑者が高槻市の住宅を訪れていたことが防犯カメラからわかった。一方、東京のタワマン周辺の防犯カメラからは高井容疑者が女装している姿が確認できたという。府警は、直子さんの自宅までの間、女装するなど何度も服装を変えていたとみている。